監督・コーチと選手の関係 織田信成さんの提訴から考える

卓球

織田信成さんが、自身へのパワーハラスメントを理由に提訴をしました。関西大学とコーチとして一緒に活動していた浜田コーチからのパワーハラスメントについて、かなり大きな悩みがあったようですね。日本のスポーツの中で、まだまだ蔓延るコーチの地位の問題、監督やコーチはそんなに偉いのか、関係性はどうすればいいのか、考えていきます。

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監督・コーチは「先生」や「絶対君主」ではない

日本のスポーツクラブや競技団体の中で、旧態依然として続くのが、コーチ=先生という関係です。確かに、競技を始めたばかりで、「習う」という状態であれば、競技の経験があり、自分よりも上手い「先生」をつけるのは、自分の技術向上や、競技での成績アップにつながるため、先生という感覚は間違いではないでしょう。

しかしながら、ある程度その競技にも慣れ、基本技術が身についてきた、そろそろ自分で工夫をしながら、技術の熟練度や戦術などを向上させたいといった場合の「コーチ」の立ち位置は、「先生」としての地位では、今回のようなパワーハラスメントにつながりかねないと考えます。

コーチングは、「対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術。 相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すコミュニケーション技法である。」とされています。ここで、考えなければならないのは、「相手の話を傾聴し」「自発的な行動を促すコミュニケーション技法」という2点です。

これは、君主的に選手を抑えつけて、コーチや監督自身が自分の意見のみを押し付けてしまうものではなく、さらに学校の先生のように、自分の持っている技術を伝えればいいだけではありません。コーチ=教える人ではなく、コーチは選手の意見を聞く人であり、自発的に強くする、上手くする人のことをいうわけです。

このようなコーチ像は、日本のスポーツ業界では認識がかなり遅れており、コーチが話すことが正しい、教える意識が高く、伝える意識が低い、こういったコーチングスタッフは多いです。欧米でのスポーツコーチングとは全く違い、「先生と生徒」像が抜けきらないのでしょう。

コーチの評価は選手の強さではない

今回の浜田コーチの提訴、コーチとして一流だというメディアの意見がありますが、本当にそうなのか、疑問はあります。浜田コーチが教えてきた選手は、現在フィギュアスケート界のトップスターである紀平選手、宮原選手など、超一流の選手のコーチとして活動してきました。これは、浜田コーチの技術があれば誰しもが紀平選手や宮原選手のようになれれば、浜田コーチは素晴らしいとなりますが、浜田コーチが教えている選手は他にもいるはずです。全ての選手が高い成績を出せるわけではない、それは選手の努力や自力の才能があるためで、紀平選手や宮原選手が凄いのであって、浜田コーチが凄いわけではないでしょう。

一定の指導や、技術の伝承は行っていたでしょうが、成績を上げ、苦難を乗り越えていったのは選手本人です。コーチは、たまたまその選手を見る機会を与えてもらったにすぎず、強い選手を見ていたからいいコーチだ、なんでも言うこと聞きましょうという形はおかしいのではないでしょうか。

名選手=名コーチではないということは、よく言われますが、名選手を作ったから全員に対して名コーチだとも言えないはずです。そこには、選手本人の血のにじむような努力があり、表舞台に立っていいのは選手だけです。

コーチは、どんなに表舞台に取り上げられても、ちやほやされたとしても一歩引いた立場で活動する必要がありますし、選手よりも目立つなんて言うことはあってはなりません。

表舞台での名コーチだなんていう評価を受けて、自分が天狗になり、「評価=権力」と読み替えるのは愚の骨頂です。この読み替えが過ぎた浜田コーチは、モラハラ・パワハラを意識もせずに行って、関西大学フィギュアスケートの中で、「私が一番」という意識になっていったのではないでしょうか。どんなスポーツでも「コーチが一番」なんていうことはありません。「選手が一番」です。

常に一歩引いた、謙虚な気持ちが無ければ、コーチ業から外れるべきでしょう。それは選手に対してだけでなく、関係する団体、競技選手、監督やサポートメンバーに至るまで、同じことです。

卓球は?変わってきた?

卓球業界はどうでしょう。

日本卓球協会に宮崎氏が入ってから、卓球業界のコーチングやサポートは大きく変化したと思います。監督、コーチファーストではなく、アスリートファーストで、選手の意見に耳を傾ける、それを実現するという体制はトップレベルでは完成しつつあるのではないでしょうか。現在の代表監督である倉嶋監督や馬場監督は、選ぶることは無く、強く選手に意見を押し付けることもありません。寄り添い、聞き、実行させるという、コーチングサイクルがしっかりとできていると思います。

そこから下の、社会人、学生、ジュニアレベルになると、昔ながらの指導を続けているコーチは多数いますが、コーチングスタッフ自体が若返りをしてきており、スポコン的な体制は少しずつ減ってきているようにも感じます。ただし、一部ながら存在しているのも事実です。

ベンチコーチという制度はありますが、卓球は、一人で考え動き、勝ちに繋げる方法を考える必要がある競技です。コーチングスタッフは、彼ら選手が一人で満足な試合ができるように、考える力と実行させる力を強くする必要があり、抑えつけて自分のコピー選手を作るのがコーチの役割ではありません。

寛容になってきた卓球業界、さらに進化を遂げてほしいものですし、日本のスポーツ業界は、高くなりすぎたコーチの地位を、しっかりと元に戻す必要がありそうです。

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