裏・表・粒・アンチという4種類の卓球ラバー。ここに新たな種類が登場しようとしています。それがアンチ表という新ジャンル。
かつて一世を風靡し、現在は禁止ラバーにまでなってしまった「アンチ粒」を彷彿とさせる呼び名なだけに、変化系ラバーユーザーは期待するところがあるのではないでしょうか。早速使用してみましたので、スペックや使用感をお伝えしていきます。
見た目は普通の表だから始末が悪すぎる!!
アンチ表を発表したのは、der materialspezialist(以下マテリアルスペシャリスト)。燃え盛る狼なのか熊なのか、よくわからないインパクト大のパッケージは、WRMさんの商品ページでご確認ください。

パッケージ裏面の商品説明によると、半粒のトップシートをクラシックなアンチラバーの素材で仕上げたという、既に頭が取っ散らかっていくコンセプト。結果としてITTFの厳しい表面摩擦規定をギリギリで満たす変化表ラバーが誕生したといいます。(この説明を読むまで、ITTFのラバー規定に表面摩擦係数の下限規定があるのを初めて知りました。)
パッケージを開けると、透明にシートに覆われたラバーが登場。

この方式、FLASHBACKでもみたやつだわ。フラッシュバックは粘着性の変化表だった気がしますが、こちらは圧倒的に回転影響を無くした代物。ネバネバはもちろんしません。

スポンジは濃い目のオレンジ。フカフカ系で気泡はほとんど確認できません。まさにアンチラバーのスポンジその物といった感じ。今回は、アンチラバーに近しいのかどうかという確認をするために、普段使っているアンチとほぼ同じ厚みの1.3mmを選択しました。
カット前重量は46.9g、カット後は33.5gです。
スポンジ硬度などの記載は無いのでわかりませんが、自宅の硬度計でラバー全体の硬さを図ると、43.0HCでした。フラッシュバックやホールマークの変化表イリュージョンSPが40.5HCだったので、ふわふわ変化表としては、少し硬めの印象です。おそらくトップシートの硬さが、全体硬度に影響しているのでしょう。

フラッシュバックやイリュージョンSPが横目だったのに対して、WILD FIREは縦目です。

粒表面の布目はSPINFIREなどと同じようにありません。また粒の密度は低すぎず高すぎずの一般的な印象。アタック8などの方が、密度は圧倒的に低く見えます。見た目が一般的な表ソフトと同じだからこそ、アンチ表という新ジャンルが生きてくるのかもしれません。
なんだこれ!引っかかるけど滑っていく新感覚
では使用感のインプレッションをしていきます。ラケットはクリッパーウッドWRBに貼り付け、反対面にはスピンファイアを貼った状態で打っていきます。
まずは対ロング
何者か分からないので、まずは普通の表ソフトを打つようしました。あえての乗せ打ちはせず、垂直から少し被せたラケット面で、ロングボールを普通に触っていきます。すると、普通に上回転ロングの打ち方で返球できるではありませんか。
落ちる滑るという感じは無く、ボールは真っ直ぐ飛んでいく感じ。若干粒に対して引っ掛けてあげる感覚は必要ですが、扱いにくさは少なそう。少なくとも、アタック8よりは、ハーフボレーはしやすい。
相手はというと、合わせて打っている時にはなんとも無さそうですが、2度3度と返球していくうちに、なんだかよく分からない回転が発生し、ネットミスという感じでした。ナックルボール独特のふわふわと飛んでいく感じは無く、球質的には弱上回転の普通のボール。ただ、触ると落ちる(それも唐突に下回転を食らったような感じで落ちる)感じです。
野球で言うところの、ツーシームみたいなイメージ。相手はストレートを待っていて、ストレートの球筋で来るのに、最後に手元で若干変化する。だから芯が外れるみたいなボールでした。
次はアンチのように上回転に対してカットブロックをしていきます。ラケットを振り下ろすと、ボールは弱下回転の状態で相手コートへ。普通にツッツキできる程度の回転量で飛んでいきます。ものすごく切れている(スピン反転する)という感じはありませんが、明らかにその弾道は変化表のナックルブロックとは違いました。
相手にループをかけてもらうと、カットブロックも切れます。ツルツルアンチのような反転性能はありませんが、国産アンチラバー程度の反転性能は持ち合わせている様子。ただ、下回転にするには、しっかりと滑らせた状態でカットブロックのスイングをする必要があるので注意。ドライブに対して当てただけのブロックでは、弱下回転くらいしか出ません。
相手がツッツキしてきたボールは、プッシュで返すのですが、ここは少し注意が必要なところ。意外とトップシート自体に反発力があるので、アンチやOX粒高のようなプッシュはできません。そこまで押しに行くと全部オーバー。優しく押すか、インパクトを出せるなら、普通の表ソフトの角度打ちのようにパシッと打ってしまった方が簡単です。
また、摩擦抵抗がゼロではないので、引っ掛けながら打つことも可能。シートで粒に引っ掛けながら打ってみると、下回転でも十分に持ち上がるドライブが打てます。回転量には期待できませんが、ゆっくりとしたループ系のボールを送ることも可能です。この打法は、アタック8よりもWILD FIREの方が簡単でした。(フラッシュバックやイリュージョンSPの方がもっと簡単ですが)
対ドライブでのブロックは、回転の影響を受けにくい分、だいぶ楽なのですが、一点だけ注意点。当てるだけのブロックにしたときに、思ったよりも下回転のかかったボールが出ることがあるため、ボールがホップしてオーバーミスにつながります。山なりのナックル系ブロックをしたいという方には、少し触り方に工夫が必要となるでしょう。当てるだけの時には、相手のドライブの回転量によって、無回転から下回転の間を行ったり来たりするので、ボールの飛び方が1球1球変わります。短めに収められば問題無しですが、長めにブロックしてしまうとオーバーミスに悩まされるかも。
所感としては、オートマチックな変化を楽しむというよりも、自分でアレコレやってみる人の方が良いかなという感想。勝手に大きな変化(めちゃナックル)が出るというのではなく、引っ掛けたり滑らせたりを両方できた方が、ラバーの可能性は広がりそうです。
ずーっと何に似ているかなと考えているのですが、似ているラバーが見当たらない。だからこその新ジャンルなのかもしれません。
あえて似ているものを探せば、打ちやすさはフラッシュバック、変化量や意外性はサボタージュOFF(アンチ)の弱体化版という感じ。サボタージュに少しだけの引っ掛かり感をプラスしたのが、WILD FIREかなぁ。
モチ・フワの打感を好む変化表ユーザーや、アンチラバーでもスポンジの厚いものを使っていて、ふわっとした打感に慣れている人が使った方が良いかもしれません。個人的には、OX粒高のようなカチッとした打球感が好きで、そこを期待してのアンチ表だったので、少し期待は外れました。OXを使ってみたら印象は変わるかもしれませんが。
ただ、コイツの存在を知らない人からしたら、なんて不条理なラバーなんだろうと思います。もしかするとアンチ粒のように、世に憚るかもしれないアンチ表。こっそり使って勝ち上がるなら、今がチャンスかもしれません。
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