卓球を始めたころから今まで、フォアに表ソフトラバーを貼ってプレーをしてきました。その中で、「ラケットは純木製の7枚合板しかありえない」と思っていたのです。
しかし、一度シェーク両面裏ソフトに用具を変更し、特殊素材ラケットをいくつか試したのちに、フォア表ソフトに戻りました。その時使用していたのがインナーカーボンのラケットだったのですが、現在はこのインナーカーボンラケットを気に入ってしまい、使い続けています。同じラケットを2本購入してしまうほどです。
今も表ソフト×7枚合板のマッチングが悪いとは思いませんが、特殊素材もアリなのではないかと考えるようになりました。トッププロでは伊藤美誠選手が、アウターカーボンラケットを使用していますし、表ソフト選手の特殊素材使用率は高まっています。
過去には、表ソフトには7枚合板ラケット 【卓球用具考察】と記事を出しました。この内容が大きく違っているとは思いませんが、今考える、表ソフトとラケットの関係を、詳らかにしていきたいと思います。
どれもが7枚合板である事実
まずは、表ソフトと7枚合板ラケットの相性は絶妙に高いということを押さえておきましょう。この7枚という数字が、ミソなのだと思います。
もちろん、木材だけの7枚でもOKです。木材5枚に2枚の特殊素材が入っても合計7枚合板のラケットが出来上がります。
例えば・・・
- 純木製7枚:クリッパーウッド・アクアブレードα・ギャラクシャ・剛力など
- 木材5枚+特殊素材2枚:伊藤美誠カーボン・ファイヤーフォールVC・ハイブリッドACインサイドなど
という感じです。
硬さや弾みの違いはありますが、打球感という面では似たような面も多いラケットです。まずは、特殊素材の有無などはありますが、7枚の板をプレスしてあるラケットを選ぶと、大けがしないのが表ソフトのラケット選びになるでしょう。
木材、インナー、アウターで何が変わるのか?それぞれのメリット・デメリットはこれだ
では、どのラケットを選べばいいのか、迷うところですね。これまで打ってきた様々なラケットと表ソフトの相性を考え、それぞれのメリットやデメリットを考えていきましょう。
純木材7枚合板ラケット
最もベーシックな形は、やはり木材ラケットだと思います。クリッパーウッド、アクアブレードα、剛力、スワット、丹羽孝希WOODなど、種類も豊富ですね。
全体的に引き締まった打球感が特徴で、自然に表ソフト特有のナックルが出ます。弾く技術はもちろんですが、板厚が厚めのラケット(丹羽孝希WOODなど)では、ボールをひっかけて擦る技術もやりやすいです。
多く使われているリンバ材(明るめの木の色で、白や黄色に近い)では、均一でいい弾みが期待できます。剛力に使われているウォルナット材(黒や茶色っぽい木材)では、硬い打球感が特徴で、板厚を薄く加工できるという面も持ち合わせます。
比較的柔らかく、ポンポンと飛距離が出るラケットが良ければ、リンバ材などの明るめの色のラケットを選び、板厚は厚め(6.5mm~7.0mm程度)を選ぶと良いでしょう。逆にカチンと硬い打感を求め、ボールを弾ませたくないという場合には、黒っぽくて板厚が薄め(5.0mm~6.3mm程度)を選ぶといいですね。
木材の種類や、板厚を変えることで、様々なフィーリングを得られるのが純木材ラケットの良いところです。
また、ラケット重量が重いものが多く、片面に表ソフトを貼る選手としては、軽くなりすぎるラケット重量が気になる点でもあります。純木材のラケットは90gオーバーのモノが多く、剛力などでは100gを超えるものもあり、ラバーと合わせて180g程度を目指すのであれば、木材ラケット一択となるはずです。特殊素材ラケットでは実現が難しい、重量面の克服も、純木材ラケットが解決してくれますね。
アウターカーボンラケット
早い球離れを好み、軽いタッチで表ソフトの打球ができるのであれば、アウターカーボンラケットもおすすめです。よりボールが直線的に飛び、一撃の威力は最も高まります。
ラケット自体が食い込む、長くボールを持つということはほとんどなく、パンパンとボールが離れていきます。表ソフトの飛球線が最も出やすく、低く鋭く飛ぶボールを打ちこめます。
ボールが安定して相手コートに返球できるかは、相応の技術力が必要です。特に、手元から簡単に離れてしまうので、打球コントロールは最も難しいラケットとなります。
スポンジが柔らかめの表ソフト(スペクトルシリーズ)や、回転系の表ソフト(インパーシャル・VO102)であれば、普通に扱える範疇化と思いますが、モリストSPのような硬めのスピード系表ソフトを貼って使いこなすのは至難の業と言えるでしょう。
伊藤美誠カーボンにモリストSPを組み合わせる、伊藤美誠選手は、類まれなるボールタッチと、血のにじむような努力で、この超攻撃的かつ特徴あるボールを生み出す組み合わせを使いこなしているということです。
表ソフト上級者で、モアスピード、モアナックルを期待する時に、選びたいラケットですね。ただし、ラケット自体の重さが小さい分、純木材ラケットよりもボールは軽くなる傾向があるようです。
インナーカーボンラケット
私が現在気に入って使っているのが、こちらです。板厚を薄めに抑えながらも、しっかりとした球持ちが確保できるのが、インナーカーボンラケットの特徴になります。板厚を薄くしても飛距離が落ちにくく、手に響く打球感を残しながら、鋭いボールも打てるというラケットになります。
ラケットの中芯の隣に配置される特殊素材も、様々な種類があります。柔軟な素材を配置したハイブリッドACインサイド(筆者使用)では、純木材に近い打球感を残しながら、安心感のある球持ちの良さを感じられるラケットです。硬質なVカーボンを中芯の隣に配置したファイヤーフォールVC(木原美悠選手使用)では、アウターカーボンラケットに近い、シャキッとした打球感が特徴で、ボールのスピードを挙げながら、適度な安定感を得られるラケットです。
入れる素材によって、打球感が結構大きく変わるので、特殊素材が柔らかいのか硬いのか、反発力が大きいのか小さいのかを調べてから、ラケット選定に入ると良いと思います。
ラケット重量が軽くなるというデメリットはありますが、板厚が6.3mm程度のラケットが多く、表ソフトとの相性は高いでしょう。
柔らかめの素材ラケットは、硬く引き締まった表ソフトが増えている中で、プレーに安定感を与えてくれるはずです。
ラバーが硬い現代用具では、柔らかめの打球感が安心
近年の表ソフトラバーは、硬質なものが多いです。スポンジ硬度とトップシートの硬さが相まって、裏ソフトに近い全体硬度を示すラバーが増えてきました。
スポンジに対して、トップシートが点ではなく、面で接触する表ソフトは、ボールの打球時の力でスポンジを変形させるためには、裏ソフトよりも大きな力が必要になります。それほどに食い込みにくいのが表ソフトなのですが、トップシートやスポンジが硬くなっている昨今、さらに食い込ませにくい表ソフトラバーが増えているのが現状です。
一撃のスピードは上がるものの、食い込みが少ないと、ボールのコントロールがしずらく、回転もかけにくくなります。硬くなったラバーに硬いラケットを合わせるのは、一般プレーヤーにとって、技術的に難しい選択を余儀なくされてしまいます。
もしも、あなたが使用しているラバーが、VICTASのVOシリーズ、ラクザPO、ヘキサーピップスフォース、モリストSP、インパーシャルXSなどの、スピードも回転も両立させた高性能表ソフトだという場合には、純木材、もしくはインナーカーボンラケットの中でも柔らかめの素材を使用したものから、ラケット選びをするといいでしょう。
ソニックAR、パチスマ、スペクトルシリーズ、スピンピップスシリーズなどの、シート柔らかめな、昔からの日本で好まれた表ソフトを使用している場合には、アウターカーボンラケットという選択肢もアリかもしれません。これらの柔らかめの表ソフトには、硬めのラケットを試してほしいので、剛力という選択肢もアリですね。より止めやすく、弾きやすさを高めることができるはずです。
最近は、表ソフトに特殊素材もアリだなと感じた筆者。特にアラミド系の柔軟な特殊素材は、木材ラケットの打球感に近く、弾みを確保しながら板厚を薄くできるという大きなメリットを感じました。
表ソフトの打感確保には板厚が大きく影響してきます。純木材ラケットが軒並み分厚くなっている昨今、表ソフトユーザーが特殊素材に目を向けてもいいのではないかと感じました。
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