卓球用具の合う、合わないを考える 実際のラバーやラケットの組み合わせ例【卓球用具】

卓球

前回は、卓球プレーヤーの「用具が合う、合わない」問題について、考えてきました。
前回記事はこちら→ラバーやラケットは、価格でも、性能でもなく、自分との相性で選ばなければダメ。【卓球用具の選び方】
実際には用具の相性というよりも、自分の卓球との相性が重要になってきます。今回は、私の学生時代から、コーチとして現在に至るまでの、様々な用具選びをしている選手のギアを挙げながら、自分に合った用具とは一体何なのか、実例を踏まえて考えていきます。

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まずは中古品でもいい、貼って使って打ってみることが大切

卓球用具の世界は広く深いものです。様々なメーカーが卓球用具を展開し、その数は星の数ほどあります。国内で、大きく展開しているメーカーだけで、Butterfly(バタフライ)、Nittaku(ニッタク)、Yasaka(ヤサカ)、VICTAS(ヴィクタス)、TSP(ティーエスピー)、STIGA(スティガ)、DONIC(ドニック)、andro(アンドロ)、JUIC(ジュウイック)、Cornilleau(コニヨール)、Joola(ヨーラ)、XIOM(エクシオン)、DARKER(ダーカー)、TIBHAR(ティバー)、Armstrong(アームストロング)、Avalox(アバロックス)、Killerspin(キラースピン)、MIZUNO(ミズノ)、ASICS(アシックス)の18社にものぼり、ここに中国のメーカーや欧州メーカーなど、輸入品も合わせると、とんでもない数になりますね。中国系では銀河、SWORD、紅双喜、欧州系ではマテリアルスペシャリスト、ノイバウアー、ホールマーク、GEWO、OSPなどが加わってきます。これ以外にも新勢力は日々増え続けており、国内で買えるラバーやラケットは、とんでもない種類になるのがわかります。

1枚3000円から5000円、モノによっては10000円を超えるようなラバー、ラケットでは8000円前後から30000円を超えるようなものまで多岐にわたり、一つ一つ試していたのでは時間とお金がいくらあっても足りません。

さらに、ラケットにはペンとシェークの2種類の他に、合板構成やグリップ、大きさの異なる種類も存在し、ラバーには特薄、薄、中、厚、特厚の厚さの構成、さらに皮付きや硬度違いを加えると、一体どれが自分にとって合うものなのか、巡り合うことも困難を極めます。

そこで特に学生やクラブチームに所属している人が試してほしいのが、中古品の試打です。チームメイトのラバーが寿命を迎え、張り替える際に、古いラバーをもらい、自分のラケットに貼って試してみる、これをするだけで、メーカーごとの特性や厚さや硬度に対する自分の感じ方がわかり、用具選びの大きな根幹を作ることができます。

実際に私は、中学・高校時代から、現在のクラブに至るまで、中古ラバーをかなりの数、打ち込んできました。先輩後輩に関わらず、使用済みのラバーをもらい、貼り付けては打ちの繰り返しです。部室に「使用済みラバー箱」のようなものを置いておき、気になるラバーがあれば、そこから取って貼り付けて試打して、また戻すというようなことを行っても良いでしょう。実際に私が高校生の時には、そういった目的の箱を作って、部室に置いておきました。

ラケットについても、同時に複数本を打ち比べて、5枚合板、7枚合板、特殊素材ラケットの特性を知り、グリップの違いによる持ちやすさの違いが、どこに影響するのか、ブレードの大きさが何に影響するのかを感じておくべきです。その際には、「今回はブレードの大きさだけ」「今回は合板構成だけ」にフューチャーして、一度に複数項目の試打をせずに、一つ一つクリアにしていくといいでしょう。

最近では、メルカリなどのフリマアプリが増え、使用済みラバーを安価に手に入れることもできるようになりました。こういったものを使い、用具に対する見識を深めることは、合う合わないのラインを明確にするために必要不可欠な部分です。

試打の際には、自分の言葉で特性をまとめて、一つのノートにすることにより、その知識や情報が蓄積されていくので、自己レビューをつける癖をつけてみてください。

実際にあった、用具の選びの例

フォアに柔らかいラバーを使うことで、時間を作り、威力と安定感を増す

変更前 ラケット:丹羽孝希(カーボン) F:V15 エキストラ B:V15 エキストラ
変更後 ラケット:丹羽孝希(カーボン) F:V15 スティフ B:V15 エキストラ

シェーク両面裏ソフト、両ハンド攻撃を主軸に戦う選手に試してほしい例です。比較的前陣で戦う選手像です。ドライブ攻撃の選手は、しっかりしたスイングで回転と威力を出すために、中陣まで下がり、攻撃を連続して行うことが多いですが、様々な特性により、前陣に張り付いて戦う選手も多いでしょう。

元々この選手が使用していた用具は、アウターカーボンの弾むラケットに、V15エキストラを両面使用です。硬めのラバーで、しっかりと打てる時には良いボールが入るのですが、時間のない前陣での卓球をしているので、十分な体勢で打つ機会が少ないのがネックです。

ブロックの技術は高く、特にバックハンドのブロックは固く、安定感のあるものでした。

まず初めに変更を考えたのは、バックハンド攻撃の安定のため、バックのラバーを柔らかくすることでした。フォアはV15エキストラを継続して使用し、バックにV15スティフを貼ってみたところ、バックハンドドライブの精度は高くなったものの、少々柔らかくなったラバーによって、得意だったバックブロックや、ラリーの中でのバックハンド攻撃がやりにくくなりました。

この選手の特徴は、バックハンドで回転をかけるよりも、相手のボールの勢いをそのまま利用してのミート打ちが得意なことで、ブロックやハーフボレーを上手く利用しながら、フォアハンド攻撃に結び付けることでした。問題点は、フォアハンドが遅れた時でも、ある程度返球できる余裕を持たせることと、フォアハンドの球離れを遅くして、安定感を持たせることでした。

そこで、ラケットを反転させ、バックに使用していたV15スティフをフォアに、バックにはフォアで使用していたV15エキストラを使用させることにしました。

すると、バックハンドのミート系打法は安定し、フォアハンドは多少打球点が遅れても、柔らかめのラバーで安定してボールを打つことができるので、安定感と精度、そして回転がかかりやすくなったため威力も増しました。

一般的には、フォア硬め、バック柔らかめのラバーを使用することが多いですが、得意な技術によって、逆にフォア柔らかめ、バック硬めのラバーにすることで、前陣攻撃を行う選手には都合がいいこともあります。時間のない前陣で、速い両ハンド攻撃をする選手には試してほしいセットアップです。

表系ラバーの縦目と横目は、合う合わないに非常に重要なファクター

変更前:ラケット:クリッパーウッドWRB(旧版) F:スペクトル B:マークV
変更後:ラケット:クリッパーウッドWRB(旧版) F:スペクトルスピード B:マークV(皮付)

次は私自身の用具選びです。

私はシェークフォア異質の攻撃選手です。これは、卓球を始めた半年後の中学1年生後半から始まっており、もう20年以上フォアハンドで裏ソフト以外のラバーを使用しています。学生時代は専らフォア表ソフト、バック裏ソフトのセットアップ、現在ではフォアに粒高ラバーを貼って、バックは裏ソフトのままです。

初めて打った表ソフトラバーは、表ソフトの代名詞「スペクトル」でした。これは当時のコーチから勧められたもので、フォア表に私を変えたのもこのコーチです。縦目の表ソフト「スペクトル」は、手首をコックして、ラケットヘッドをあまり落とさない私の打ち方にあっており、長年愛用することになります。

高校時代に用具に悩むことがあり、当時周囲は裏ソフトドライブが主流の時代、ペン表ソフトでも回転系ラバーを使用することが多く、先輩に進められた横目のスーパースピンピップスを使用したことがあります。

裏ソフトでのドライブが上手くなかった私に、強い回転のドライブはいらないよという意味合いで、スペクトルを使わせていたコーチの意図がわからず、一度、横目の回転系表ソフトをしようしてみましたが、これは大失敗でした。

ラケットヘッドが落ちにくいフォアハンドでは、ボールを早く弾く前に、ラバーに引っかかってしまい、オーバーミスが連発します。さらに、回転に鈍感な表ソフトを使用していましたが、回転系表ソフトにすることにより、裏ソフトに近い回転への敏感さをもってしまうため、フォアハンド攻撃が全くできなくなります。

フォア表の選手には、軽いタッチで弾けるタイプと、しっかりとボールをラケットに当てて強いミートで返す選手がいますが、私は後者です。軽いタッチで触れる選手には、目の詰まった回転系表ソフトや、テンション系表ソフトの中でも柔らかめのラバーで、スピードが出るものを使えますが、打感が強い私には、これらはすべてオーバーミスのもとになります。さらに粒目の配列の違いが大きく影響し、粒目も縦目のものを好むようになりました。

高校時代は、その後スペクトルに戻し、最終的にはスポンジ硬度を挙げてスペクトルスピードを使用するようになりました。当時の表ソフトの王道「スピンピップス」や「クリッパ」などの横目の回転系ではなく、縦目だけを使用することになったエピソードです。

その後、フォア面を粒高に変えることになり、横目のラバーを使わざるを得なくなりましたが、現在では縦目の粒高ラバー「バーティカル20」が発売されたため、縦目好きの私はこちらに乗り換えています。

打ちやすさ?経験の少ない子供に判断させてもわかりません。

変更前 ラケット:ウォルナットウッド F:ヴェガアジア B:VO101
変更後 ラケット:ウォルナットウッド F:ヴェガアジア B:VO102

ジュニア世代の用具選びでは、選手自身のフィーリングが生成される前なので、経験の少ないプレーヤーに、使用用具の良し悪しや、現在の悩みなどを聞いたところで、正確な答えは返ってきません。用具をコロコロと変えたがる子もいますし、今の用具をかたくなに変えない子もいます。

コーチングスタッフは、このようなジュニア世代を受け持つ上で、「変なミス」をする機会に目を配り、感覚に合わない用具を排除してあげる必要があるのです。これは、プレーヤー主導ではなく、コーチ主導で行うべきだと考えます。

フォア裏ソフト、バック表ソフトで、クルミ材の硬めのラケットを使っている選手の一例です。バック面の表ソフトでのピッチの速い攻撃を主軸にして戦う選手で、球離れの速くスピードが出やすい縦目の表ソフトを使用していました。バックハンドを積極的にスイングしていくときには良いボールが入るものの、ブロック、ハーフボレーなど、バック表の選手の生命線となる技術が「変にボールが落ちる」ことで、上手くありませんでした。ボールが直線的に飛んでしまい、弧線を描かないために、安定感が低かったのです。本人に聞くと、「使用感は悪くない、あとは自分の問題」と、用具に対するフィーリングは悪くないと言いますが、明らかにバックハンドには悩んでいる様子でした。

そこで、横目の回転系表ソフトを貼った別のラケットを準備し、そのラケットで打たせたところ、本人は「なにが違うのかよくわからないけど、ボールは入りやすい」と答えたため、そのまま試打したラバーをへ変更しました。

スピードを求めるからスピード系表ソフト、回転を増やしたいから回転系表ソフトというカテゴリーがありますが、このカテゴリー名にとらわれると、正確な用具選びをできなくなります。特に今回の選手は、バックハンドを打つ際に手首が柔らかく使用することができ、ラケットヘッドを横に向けた状態で使用するため、縦目のラバーでは滑ってしまうという現象が発生していました。ここに横目のラバーを合わせることにより、弧線を描くことができるようなり、さらに、柔らかい手首で回転をかけることもできるようになります。パチンと弾いて打っているように見えるバック表ソフト選手のバックハンドも、擦り気味なのか完全なミート打ちなのか、これを見極めることで「合う用具選びができるようになります。感覚を言葉でうまく表現できない子供には、打った球の質や、打ち方の特性を見分けた用具の提案が必要です。

まとめ

用具との相性、これは用具同士の相性ではなく自分のプレーとの相性です。いくらフィーリングが良くても、プレーしている卓球の質が落ちては意味がありません。卓球は、打球スピード競争でも回転量競争でもなく、相手のコートに一本でも多く返したプレーヤーが勝利する競技だということを忘れてはいけません。用具選びの際に、最も重要視するべきポイントは、威力や変化が大きくなったボールを「相手コートに入れることができるのか」どうかです。時速200㎞のボールを打っても自分のポイントにはなりません。このことを念頭において、数ある用具の中から、最高の一品を選んでいきましょう。

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