チャック時代の表ソフトユーザー必見 銀河・天王星レビュー【卓球用具レビュー】

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ラバー

ワールドラバーマーケットさんの新製品、銀河唯一の回転系表ソフトの天王星(Uranus)が発売されました。銀河の中では表ソフトは天王星と冥王星がラインナップされていますが、正統派攻撃に使える表ソフトは、天王星が唯一の存在となります。今回は、この新型表ソフト天王星をレビューしていきます。

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已打底・ブルースポンジで懐かしの打感に

今回のURANUS PROは、スポンジに已打底の加工が施されており、柔らかく弾力のあるブルースポンジが搭載されています。銀河の粘着裏ソフトではお馴染みの加工ですが、天王星に搭載されているスポンジは、しっかりと表ソフトようにリセッティングされている印象です。

硬すぎず、柔らかすぎず、モチモチっとしたスポンジでスポンジの密度はそこまで高くありません。ところどころにしっかりと気泡を確認することができ、指で押し込むと低反発クッションの硬めのもののような、弾力が残った柔らかさがあります。

表ソフトの粒配列は横目になっています。回転系表ソフトの王道配列ですが、粒形状は台形に近く、高めの粒になっていて、トップシートだけで飛ばす力も持ち合わせています。回転系表ソフトでは、トップシートは回転をかけるだけ、テンションスポンジで飛ばすという構造のものが多い中で、トップシートでボールをつかみ、反発させる力を持たせているので、ラケット操作によってはナックルを出したり、球速を落としてドロップをさせたりする操作がやりやすいラバーになっています。

回転系表ソフトとして、しっかりとした回転性能を持っていて、後ろに下がって、打球点を落とした状態からのドライブも、しっかりと回転がかかり弧線を描いて相手コートに落ちていきます。表ソフトの球離れの早さと、回転性能がしっかりとマッチしており、様々なボールを打つことができるのが良い点です。

已打底とブルースポンジによって、チャック(弾む接着剤)を塗ったような打球感覚になっているのが最大の特徴です。強くミートした時の金属音も懐かしの音で、現在のテンション表ソフトとは違い、強打と繋ぐ打ち方のどちらでも、ボールが走っていきます。テンション表ソフトの多くは、強打の時はボールが走っていき、攻撃の力は大きいものの、つなぐ技術で急に滑ってしまったり、飛ばしたくないときに不用意にボールが飛んでしまったりと、ラバーの能力に頼る部分が多くなってしまいます。良くも悪くもラバー次第でボールが決まり、良いボールを打つために、強く当てざるを得ないのです。

天王星は、スイングの仕方により飛ばし方を変化させることができ、強く弾けばシートの弾力とスポンジの球持ちの良さで、グンと伸びるボールを出せますし、ドライブのような回転をかけるボールは、トップシートの引き攣れが起きるまで、スポンジがボールを支持してくれるので、強烈な回転をかけることもできるようになっています。

個人的な感覚としては、オリジナルTバージョンにチャック2度塗りをして貼った時の感じです。オリジナルTバージョンは縦目の表ソフトで、スピード系のラバーですが、擦ればしっかり回転のかかるラバーでした。モリストAXのような、ゴリゴリの回転をかける表ソフトではなく、昔のスピード系表ソフトにチャックを塗って回転もかけられるようにした感じ、硬すぎず柔らかすぎず、使いやすい表ソフトになっています。

遅いボールが打てる=弾まない というわけではない

天王星の特徴として、ブロックや軽打が遅くなるという点が挙げられます。近年の高速卓球にたいおうするため、攻撃系の表ソフトは、ピッチを上げるために球離れを早くし、ボールのスピードを上げる方向に研究開発が進んでいます。モリストSP、ラグザPO、VO102など、各社の表ソフトは挙ってスピードが高いです。小さく鋭いスイングで、突き刺さるボールは、表ソフトの醍醐味ですが、同時にボールを変化させるという醍醐味を消してしまっています。

トップレベルの選手では、このような弾む用具でも、相手のタイミングをずらしたり、回転の変化をさせるような変化をさせることができます。伊藤美誠選手がバックハンドでいなすようなブロックをするのは、表ソフトならではの技術だと思います。しかし、この技術は、現在の弾む表ソフトではやりにくくなっていますし、あえて飛ばさない、遅いボールを作り出すことがやりにくくなっているのが事実です。

天王星でブロックをすると、ボールがしっかりとスポンジまで食い込み、そのままボールの勢いを受け止めてくれるので、勢いを殺すことが容易だということに気づかされます。自然とナックル気味になり、相手のコートでボールが伸びにくくなります。スポンジ自体がボールを飛ばすことだけでなく、しっかりと受けた力を受け止める、受け止めた力を分散させるのか、またボールに伝えるのかを選択させてくれるため、ブロックの際に、少しラケットを振ってあげることで速いカウンターも打てますし、そのまま止めておけば、ボールは死んでくれて相手の打球タイミングを外すこともできます。

表ソフトラバーは、打球点やミートの仕方に対して非常に敏感なラバーでした。10年から15年ほど前は、打球点の高いところで、しっかりとミートしなければいいボールが入らないラバーで、回転に敏感なのが裏ソフト、打感に敏感なのが表ソフトという区分けがあったように感じます。

現代のラバー全体に言えることですが、簡単に入るものが多くなり、代わりにプレーヤーの感覚を研ぎ澄まさなくても、ある程度の良いボールはラバー頼みで打てるようになっています。そのため、プレーヤーによる球質の差が小さくなり、裏ソフトでも表ソフトでも似たようなボールが打てる、ボールの個性が無くなって、打ち返しやすいボールが増えたのです。

飛ばさない技術がしっかり使える天王星は、強いボールを打った時でも現在多く販売されている表ソフトとは異なる、突き刺さるような球質を出すことができ、強いボールも弱いボールも独特の動き方をしてくれます。打感を磨けば磨くほど、打てるボールの幅が広がっていき、プレーヤーがラバーを育てる、プレーヤーがラバーの限界値を高めていくことができるセットアップがされています。

ブロックのボールが遅くなる、それは単純に弾まない使えない用具ということではありません。遅い球も速い球もどちらも高いレベルで繰り出すことができる、使い手によりラバーの真価がどんどんと高くなるという意味になります。本来の表ソフトの「嫌らしさ」がしっかりと発揮される、これはトップシートの構造に工夫が多く、研究されている証です。

まとめ

已打底・ブルースポンジで攻撃性能はピカイチ、回転系表ソフトながら、しっかりとスピードも出る、守備系技術ではボールが動き、裏ソフトににた表ソフトではなく、表ソフトの持つべき性能をしっかりと高めているラバー、それが天王星です。最近のテンションラバーに飽き飽きしている方、チャックが使えたころに、スペクトルやオリジナル、MDスピンピップスやクリッパなどの表ソフトを使っていた方、あの頃の古き良き表ソフトが、現代でパワーアップして帰ってきました。ブルスポ、已打底の天王星は、これまでのテンション表ソフトに待ったをかける、往年の名ギアの再来です。

 

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