アンチラバーはナゼ増えない? 増えないからこそ勝ちやすくなる、アンチラバーのメリットとは

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ラバー

先日、ワールドラバーマーケット本社にお邪魔させていただき、様々なコラボをさせていただきました。今後、世の中に発信されていくかと思いますので、楽しみにしていてください。
今回は、WRM本社で、私も久々に触った「アンチラバー」について考えていきます。

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アンチって一体なに?どういうときに使うの?

アンチラバーという言葉は聞いたことがある、だけど現物を見たことは無いという方、多いのではないでしょうか。実際の試合会場にいっても、アンチラバーを使っている人を見つけることは、かなり難しいでしょう。身近にアンチラバーを使っている選手がいる人は、かなり大切にしたほうがいいです。それほど、現在の卓球では姿を見ることが少ない希少価値のあるラバーだと思います。

大手卓球メーカーでは、バタフライが「スーパーアンチ」というアンチラバーを昔から作っていて、これの生産が止まることはありません。ただし、他の粒高や裏ソフトや表ソフトのように、数多く種類があるというわけではなく、バタフライではスーパーアンチの1種類のみです。

アンチラバーの取り扱いで強みを見せるのが、ワールドラバーマーケットで、ディアボリックやトランスフォーマーは、アンチラバーの中でもしっかりとした性能差があり、使用スタイルによって用具を変更できるのは、アンチユーザーにとってうれしい限りですね。

アンチラバーの名前にあるアンチは何に対してアンチなのかというと、「回転」に対してアンチなのです。アンチとは元をただすと「反対」「対抗する」「抗う」といった意味があり、回転のあるボールに対して、その回転力に抗うラバーだということを覚えておいてください。

この抗うという意味は、単に無回転化するという意味ではなく、自分にとって回転を気にすることなく打てるという意味です。繰り出すボールが無回転になるというわけではありません。

アンチラバーの特徴は、粒高ラバーと似ていて、相手の回転の影響を受けにくい、さらに相手のボールの回転をを多少ですが反転する力があるという点です。シェークバック面で使用し、前陣でブロックした際には、強烈なドライブを打たれても、回転を少なくしてナックルボールに近いようなボールを打つことができ、カットマンのような後陣でスイングできる場合には、粒高のように回転を反転しながら相手に打ち返すことができます。

粒高との大きな違いは、オートマチックに回転が決まってしまうのか、それとも自分から変化をつけやすいのかという点です。アンチラバーの場合、ラバーに当たったボールは、自然に変化をし、意図せずナックルボールになったり、ちょっと下回転が残っていたりと、いろいろな動きをします。ある程度同じような回転を送ろうとしても、ラバーの性質上、回転を合わせることはできず、いろいろな回転が飛んでいくのが良いところでもあり悪いところでもあります。自分から変化させずともナチュラルに変化し続けるボールは、相手を惑わし、相手が慣れるまでの時間を長くすることができるため、有効に作用します。ただし、自分から強い回転をかけることができないため、中途半端な変化に相手が慣れてしまったら、防戦一方となってしまうのも事実です。
粒高ラバーの場合、変化ブロックをさせることは同義になりますが、変化の度合いが一定で、安定しているので、扱いやすく、さらにどんなボールを相手に送っているのかが明確にわかります。それゆえに、当てるだけの返球では変化の度合いに相手が慣れるのが早く、変化を使って戦うことができなくなってきます。そのため、上手い粒高の選手は、粒で切ったりナックルにしたりを自分から行っていくことにより、変化の度合いを自分から大きくして戦っていくのが特徴です。シェークバック粒やカットマンやペン粒では切る技術を磨き、それに応えてくれるのが粒高ラバーですし、フォア面に貼ってドライブをかけることもできるのが粒高ラバーです。アンチラバーでは、回転を作り出すということが、残念ながら難しいのです。

それでもアンチの生きる道は広く残されている

アンチラバーを使ったことがある人が少ないように、現在使われている人も少ないです。それは、アンチと対戦したことがある選手も少ないということに他なりません。

相手が裏ソフトだな、表ソフトだな、粒高だなと情報があれば、それ相応の対策を立てることができますが、アンチだなとなった時に経験したことがなければ対策を立てることもできません。

鋭い変化やクセ球を持つ選手が、初見の相手に強いというのは、その変化やクセ球に対応することができず、対応できそうになったころにはもう負けているからです。初見での大物食いをする選手の特徴は「普通の人と違うから」というほかにありません。一芸が秀でていたり、回転量に癖があると、打ち返された相手としては、嫌な感じになりますね。

アンチラバーの選手は、そんな「クセが強い」状態を、多くの相手に作ることができるのです。使用人数が少ないラバーをあえてつかうことにより、今まで体験したことない卓球を相手はせざるをえません。たまに「粒高とアンチはひとくくりに同じようなもの」と言っている人もいますが、全く性質が異なります。

多くのラバーは、ゴムの引き攣れ(ゴムがある程度柔らかく、ボールの回転により引っ張られる現象)を使って、ボールを返球していきます。ボールが飛んでいく理屈も、この引き攣れを使っており、これにより回転をかけることができるのです。

トップシートの摩擦抵抗と、弾力を最大限まで奪い、カチカチの木の板のようになっているアンチラバーは、ボールが回転して当たってきたとしても、ゴムの引き攣れが非常に起こりにくい状態です。すなわち、回転によってボールが飛んでいくのではなく、相手からこちらに向かってくる力の向きと、台の上で跳ね上がった力の向きだけを頼りに、ラケットとラバーが、回転力ではなくボールの推進力を受け止めて、跳ね飛ばすことによりボールが返球されていきます。これは、回転の力を使っている他のラバーとは全く性質が異なり、アンチラバーだけに起こる現象です。簡単に考えると、ラバーを貼っていない木の板で打っている状態とあまり変わらないということです。

回転の影響がないために、返球がしやすいボールもあれば、勢いのないボールなどは、自分から力を加えなければならず、その力には回転の力(空気抵抗からボールに弧線を描かせる力)が働きにくいため、押したり弾いたりするのには技術力が必要です。

このように特殊な要因でボールが返球されていくアンチラバーは、これまで回転という戦場で戦ってきた選手たちを簡単に惑わすことができ、さらに、自分の戦ったことのないアンチの世界に引きずり込むことができるため、一般層での対戦では、勝ちやすく、得点の取りやすいラバーであることは間違いないでしょう。特にアンチラバーを知らない選手には、ぱっと見て裏ソフトに見えることもあり、用具の知識や経験の少ない層には、さらに絶大な効果を発揮します。

自動化のアンチと自在性のアンチ

最近のアンチラバーは、ただ弾まない飛ばない、回転の影響を受けないというだけでなく、自分のスイングに乗っかってくれるアンチと、相手のスピードを生かすアンチがあります。前者を自在性の高いアンチ、後者が自動化してくれるアンチと呼びましょう。

アンチラバーの取り扱いの多い「マテリアルスペシャリスト社」のディアボリックは自在性のアンチです。硬い、ボールの接地面積が小さく、時間の短いアンチは、プッシュ系の技術や、カットをする際などの、ラケットを動かす技術で少々難がありました。単純にブロックしているならいいのですが、いざ粒高のように押していこうとすると、ボールが滑って落ちてしまうという現象が多く、敬遠される原因にもなっていました。

そんな中で、ディアボリックは、スポンジに超低弾性のものを使用することにより、アンチラバーの中では球持ちが良くなり、飛び出すスピードも抑えられることから、プッシュ系の技術を使用する際にも、ボールがラバー表面で安定し飛んでいくので、粒高のようなプッシュ技術が行いやすい、自分の技術力を自在に使えるラバーとなっています。

対して、トランスフォーマーは自動化のアンチラバーです。アンチラバーのトップシートの中では摩擦抵抗が小さいものを使っており、相手の発生させた回転をそのまま反転して返球する性能に特化しています。これは、早い打点で前陣ブロック選手にもってこいの性能で、自分はボールの回転を受けない、ゴムも引き攣れないから変なところに飛んでいかない、出した面そのままの方向に飛んでいき、ゴムとしての抵抗が極端に少ないため、そのままボールの回転は残っていくというラバーです。ディアボリックのように、ラケットを動かしてしまう選手には向きませんが、「私は壁だ」という意気込みで、台上からラケットを離さず、打球タイミングを守れる選手には、自然と大きな変化が発生するため威力抜群です。

このように、アンチラバーの選び方にも特徴があり、さらにアンチラバー自体にも様々な性能差があります。実際にディアボリックとトランスフォーマーを打ち比べると、全く別物のラバーでした。個人的にはディアボリックの方が、ボールをつかみやすく返球しやすく感じましたが、ドライブをかけてもらった後のブロックでは、トランスフォーマーの粒高のような切れ味に驚きました。

自在性と自動化、これを追求したアンチモデルが出てきていることを、アンチユーザーでなくても知っておかなければなりません。相手のラバーを「知らない」では済まない時代が、そろそろ近くに来ているのですから。

まとめ

ちょっとマイナーな存在ですが、進化の進むアンチラバーの世界をちょっと覗いてみました。変化系、守備系のラバーの中でも非常に異端児な存在は、昔のアンチラバーのイメージを飛び越えて、劇的に進化していることがわかりました。回転をかけられないが、回転変化がつくラバー、ただ硬いだけではなく、打ちやすく改良された柔軟なラバー、アンチの世界は奥深いです。それほど種類の多くないアンチラバーですが、それぞれのラバーの特徴は、裏ソフトラバーの個性よりも、非常に大きく、アンチとひとくくりにすることがはばかられるものになっていくでしょう。種類の少ないアンチですので、これを機に、主な特徴を覚えてみてはいかがでしょうか。いつかきっとアンチラバーと戦うときがやってきます。その時に「わからない」「知らない」では大けがをしてしまいますよ。

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