シェークハンドラケットには、様々なグリップの形があります。
フレア、ストレート、アナトミック、コニックが代表的な種類です。近頃ではコニックグリップは減ってしまい、実質3種類になってしまっています。
フレアは女性の洋服のフレアスカートを想像してもらえれば、形の想像がつくと思います。中央部分がくびれていて、グリップエンドにかけて広がっているグリップです。
ストレートは、その名の通り凹みも広がりもなく、真っ直ぐなグリップです。
アナトミックは、フレアとは逆に、中央部分が広くなっていて、波々になった形です。
コニックは、フレアとストレートの中間になり、くびれがなく、グリップエンドに対し広がっていくグリップです。
中学校一年生の、卓球部入部したての子どもたちを対象に、どのグリップのラケットにするか、各種グリップを握ってもらい、握りやすさを選んでもらったところ、「アナトミック」が一番人気でした。小さな子どもの手、特に女子選手に関しては、握ったときのグリップ中央部分の広がりが、手の中で収まりがよく、握りやすい形状なのでしょう。アナトミック採用のラケットは少ないですが、グリップが安定しない子供には、アナトミックグリップをすすめることで、しっかりと握れるようになるでしょう。
中学生から高校生にかけて、最も多いグリップはフレアです。採用しているラケットが多いこともありますが、裾の部分が広がっていることでスッポ抜ける恐怖がないのが一番でしょう。
逆にトップレベルになっていくほどストレートグリップの比率が上がっていきます。これは、プレー中に握り方を変えたり、浅くも深くも握れるグリップで、握りの自由度が増すためだと考えられます。
現在は少ないですが、私はコニックグリップにハマりました。初めて使ったラケットがプリモラッツのコニック、次にコルベルのコニック、高校生になってからは、クリッパーウッドWRBのコニックとラケットを変えて、クリッパーウッドは15年近く使いました。現在はコニックがないため剛力のフレアを使っていますが、細身の収まりの良いコニックグリップは、一度使うと他のグリップに変更したくなくなる中毒感があります。
前陣プレーの多い選手は、比較的ラケットを深めに握るタイプが多く、深く握るスタイルだと、フレアのように裾が広がったタイプのほうが握りやすくなります。逆に中陣や後陣でのプレーが多かったり、ドライブを主に使う選手は、浅めのグリップが多いため、ストレートグリップを好む傾向があるように思います。
卓球はゴルフなどと違い、飛ばせばいい、速い球を打てばいいという競技ではありません。テニスやバドミントンのように広いコートがあるわけでもありません。いかにボールを飛ばさないようにするかということが大事な競技です。
その中でグリップはとても重要なファクターとなります。初心者のまっさらな状態の時に、いかに良いグリップを身につけるかが、その後の上達の鍵になります。ゼロスタートの選手には、しっかり深く握ることを覚えてもらい、その後自分の形を見つけてほしいです。
卓球のグリップは強く握ればいいというわけでもありません。握力はラケットを支える程度に使っている選手が、トップレベルになればなるほど多くなります。上手い選手は、ギチギチにグリップを握っていることは少なく、持っているラケットを引っ張れば、引き抜けてしまう程度にしか持っていません。これは、先述したとおり、卓球が飛ばさないスポーツであることに起因します。優しくラケットを扱うことにより、数グラムしかない軽いボールを自在に操り、狭い相手コートに叩き込むことができるのです。
ラケットのグリップ選びは非常に重要です。特に、初級段階を抜け出して、基本打法を身につけた後に選ぶラケットのグリップは、その後の卓球の方向性を示しているといっても過言ではありません。ラケットというと、合板数や弾み、特殊素材の有無などにフォーカスが行ってしまいますが、もっとグリップにフォーカスを当てても良いのではないでしょうか。
軽い力で、不安なく握れるグリップと出会うことは、卓球ラケットとのシェークハンド(握手)で友好関係を作ることに他なりません。ラケットによってくびれの深さや、グリップの太さ細さ、丸さなど様々です。ネットショッピングで便利になった世の中ですが、ラケットはしっかりと握って選んでいきたいものです。
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