OSPラケットの手作りでしか出せない魅力 大量生産ラケットとは何が違うのか 【卓球ラケット】

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ラケット

OSP社のラケット「タイニーダンサー01」と出会って、間もなく1年が経過します。WRMのチャパリータさんが、こだわってこだわって作り込んだこのラケットは、OSP社の高い技術力とオールハンドメイドという特異な環境で製造され、全体数は少ないですが、全国各地のユーザーさんの手元に届いています。

今回は、1年前に初めてOSPラケットを握り、現在まで浮気もせずに使用し続けた結果見えてきた、ハンドメイドラケットと他のラケットとの違いを考えていきたいと思います。

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木材ラケットの悩み「個体差」を極限まで小さくする技術

現在は、特殊素材ラケットが台頭し、多くのユーザーの間で使用されています。カーボンに代表される特殊素材は、人工的に作られた素材なので、素材としての個体差が大きく発生しません。

対して、木材は天然素材のため、合板加工を施しても、素材ごとの個体差が大きく出てきます。弾み方や重量、スイートスポットの大きさや音など、基本的に同じ銘柄のラケットを購入しても、同じ性能や感覚のものは無いに等しいです。

同一の素材、例えばシナ材、リンバ、ウォルナッドなどの木の種類が同じでも、すべてが同じ木からとれるわけではありませんし、一本の木でも、中心に近い部分と樹皮に近い部分では硬さも重さも異なる板が作られます。

そのため、オールハンドメイドでないラケットでは、商品詳細の欄のラケット重量を見ると、±5gといった誤差をとります。天然木材で作っている卓球のラケットでは仕方のない誤差ですが、タイニーダンサーでは、その誤差を±3gと表記しているのです。

例えば、木材ラケットの名器と呼ばれるスティガ:クリッパーウッドを見てみると、92g±5gという表記です。製品化されている中には87gのものもあれば、97gのものもあるということになります。上下幅の記載があるのはまだ良心的なものです。

最近人気の7枚合板ラケット、VICTAS:丹羽孝希WOODを見てみると、90±重量という表記です。誤差幅の記載もありません。実際に、丹羽孝希WOODを20本ほど仕入れ、それぞれの重量を計ってみたことがあります。実測で82gから95gまでと、かなり大きな重量の幅がありました。

木材ラケットを、重量や板厚を揃えて作るというのは本当に難しく、日本で多くのユーザーが使用する大手メーカーのラケットでも、その個体差は大きなものがあります。ラケットの総重量が、プレーにシビアに影響する卓球では、この個体差を甘く見ると痛い目にあうこともしばしばです。

そんな中で、量は多く作れませんが、品質にこだわり、個体差をなるべく少なくするOSPラケットは、ラケットを買い替えても、別個体を使っても違和感なく使用することができる、数少ないラケットメーカーでしょう。

実際に私は、タイニーダンサー01を2本所有していますが、重さ、板厚、打感ともに個体差はほとんど感じることがありません。

滑らかな手触り、角のない仕上げは、グリップ加工いらず

ペンホルダーの方は、親指と人差し指の当たるグリップの部分を削り、加工しますが、シェークハンドのプレーヤーはどうでしょうか?私が教えているシェークハンドの生徒さんの6割強が、「ラケットが手に当たる箇所が尖っていて痛い」と訴え、グリップの一部を削ったり、グリップに近いラケットブレードのエラの部分を削ってあげることがあります。

木材の削りだし、切り出しを行うラケットは、ラケットのサイド部分が角張っていて痛いものです。私が15年ほど使っていたクリッパーウッドも、初めのころにやすり掛けをして手が当たる部分を滑らかに加工しましたし、現在コーチングで使用している丹羽孝希WOODも、エラの部分は、やすり掛けしています。

しかしながら、タイニーダンサーに関しては、やすり掛けを行っていません。かなり深く握り、中指までひっかけるグリップにしなければならないタイニーダンサーは、他のラケットよりも手が当たる面積は大きくなりますし、ひっかけている中指と、親指と人差し指の間は、他のラケットを持つときよりも、ラケットが深く食い込みます。

このように握ってもラケットの角は全く痛くないですし、しっくり、しっとりと握ることができます。

ラケットブレードからグリップエンドまで、角を落とし、滑らかな手触りに揃える技術は、日本の宮大工さんの仕事のようです。工業製品というよりも、伝統工芸品に近いのがOSPラケットでしょう。

木材の若さを感じることが少なく、劣化を感じることが少ない

木材ラケットは生きています。生産されたところから、外気温の変化や湿度の変化を受け、幾度も接着剤を塗られてラバーを貼られる、その環境の変化を受け入れながら熟成されていきます。

ラケットの打感に関しては、新品状態の乾いた感じが好きという方もいれば、少し使い込んで朽ちてきたくらいの熟成度合いが好きという方もいますね。好みに応じて、早めのサイクルでラケットを買い替える方もいるでしょうし、20年も30年も使い続ける方もいます。

タイニーダンサーを初めて使った時と、1年たった現在では、もちろん木材の状態は少しずつ変化しているはずですが、ファーストインプレッションで感じた打感と、現在の打感に大きな変化は感じません。

初めから、少し使い込まれた、熟成されたような打感であるために、木の若さをあまり感じませんでした。それは、自分が1年から2年の間、使い続けて成熟を重ねたラケットのようであり、現在も、良い感じの熟成度合いをキープしています。

使用されている木材の品質や、加工の仕方、合板の接着方法や表面加工など、木材の性質を熟知して作られている、この事実をまざまざと感じさせられるラケットです。

幾年もの時を超えても愛され使い続けられる、アンティーク家具や、最高の鳴りを年月の経過によって得た、ヴィンテージギターのような、そんな雰囲気が漂います。

まとめ

大量生産ラケットと比べると、価格も高めで、生産量も少なく手に入れるのが難しいOSPラケットですが、一度手にすると離れられなくなる、まさに「イイモノ」であることに間違いありません。一般にラケットの買い替えは、サイクルも長く、使い続ける期間はラバーと比べると非常に長い期間になります。OSPラケットは「良いものを長く使う」という日本古来からのモノの使い方を、現代に残した名品です。特に、特殊素材が好きじゃない、ラケットは木材に限るという方には、手に取って使用してもらいたいです。きっと、あなたの知らない木材ラケットの世界へ、いざなってくれるはずですから。



 

 

 

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