運動の起点軸と体重が乗る中心軸を理解する。卓球の4スタンス理論

前回に引き続き、4スタンス理論の卓球での生かし方を解説していきます。今回は、起点軸と中心軸です。

A1からB2までの4種類で、体を動かす時のキッカケとして使う軸と、動いている時に意識して残しておく軸は異なります。

つま先重心のA1 A2の場合、運動の起点軸は片側の「足裏、膝、みぞおち」を揃えます。

かかと重心のB1 B2では、「足裏、股関節、首」を揃えます。

レシーブの構えの時に、膝を使って体を支えているのか、股関節を使って支えているのかの違いです。

前回説明をした、体を起こしながら動くＡタイプでは、体の前側に出ている足の裏から、膝、みぞおちを直線で結び、3点で支えます。

体を沈ませながら動くＢタイプでは、体の後ろ側にある足裏、股関節、首の後ろを直線で結び、3点で支えるようにしましょう。

体が動き出したら、次は体重移動です。重心の移動とも取れますが、これはクロスタイプとパラレルタイプで異なります。

まずはA1とB2のクロスタイプです。後ろにあった重心を、動作とともに前側に動かしていきます。前後足の場合には、前足の方に重心を乗せて動いていくことが大切です。

A2とB1のパラレルタイプでは、体の中心に向かって動かしていきます。

重心移動はクロスタイプの方が大きく、パラレルタイプでは、かなり小さいです。目に見えてわかるのはクロスタイプの重心移動で、パラレルタイプでは、体の外側に重心が逃げないように、中心に置いておくことを意識して動くと、効率的に動けるようになります。

左右の動きで考えると、A1とB2は左右方向へ運動させて、左右足での重心移動を感じ取ります。A2とB1では、体の中央でスピンさせるように動き、左右での重心移動は避けましょう。

ここからは、トップ選手の実際の動き方を見ながら、始動軸と運動軸の違いや、動きの中心となる、3点の固定の仕方についてみていきましょう。

まずはA1代表の馬龍選手です。

独特の低い構えは、Aタイプならではの構えです。ここから、体を持ち上げながら、打球動作に移っていきます。背中を丸めずに腰から前屈みになることで、支持点であるみぞおちをしっかり使える構え方です。猫背にならないように、真似してみましょう。

黄色いラインで、支持点の3点、前の足裏、膝みぞおちを結びました。豪快なフォアのフルスイングの中でも、支持点がズレないので、運動作用が逃げません。

打球時には、すでにつま先だけで蹴り上げるようになっており、右足のつま先は、踏ん張りが効くように少し斜めを向いています。首の支持点を使わないＡタイプでは、打球時には体の中心軸が、地面と垂直になる必要はなく、傾いていてもOKです。ここから浮いている左足の方に体重移動していき、左右に重心を移動することで、ボールにパワーを伝えています。