ボールを打つ感覚ありますか? 当てる・弾く・擦る感覚を磨くために【卓球技術コラム】

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卓球

卓球の技術を覚える中で、指導書や卓球王国などの雑誌で技術特集をされていて、それを真似することって多いと思います。その中に「ボールを擦る」「ミートで弾く」といった表記がありますが、厳密に、この差を体感しながら卓球ができているでしょうか?弾む用具、飛ぶ用具が増えている中で、オートマチックに用具のおかげでボールが台に収まるようになり、自分の感覚を磨く必要が少なくなりましたが、打球感覚の向上は、技術レベルの向上に直結します。今回は、打球感覚を鍛えられる用具や、その必要性について考えていきます。

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先日のYouTubeでも話しましたが、、、

先日、WRMさんのYouTubeに出演させていただき、Xiaさんとお話しさせていただきました。その中で、現代の用具と、20年前の用具の違いについてちょっと触れています。

みなさんは卓球を始めた時に、どんな用具を使っていましたか?

約20年前に卓球を始めた私は、
ラケット:エクスター(バタフライ)廃盤
ラバー:マークV AD 極薄(ヤサカ)

この組み合わせで始めました。中学校スタートの私、とりあえずスポーツ用品店に行き、安いラケットと安いラバーを買い求めました。当時読んでいた技術書の中では、「ラバーは薄めのものから始めましょう」的なことが書いてあり、極薄を選んだ記憶があります。

当時の中学校の先輩たちからも、「とりあえず薄貼っとけよ」と言われましたし、そこで厚いラバーや、ちょっと高いラケットを使おうものなら「まだ下手くそなのに、生意気な用具つかってんじゃねぇ」と怒られたものです。

当時は、この用具が良いのか悪いのかも分からずに、弾まないラケットと、極薄のラバーで練習をしていました。1年経過し、ラケットをプリモラッツ、ラバーをスペクトル(中)とマークV(中)に変えて、卒業まではそのまま練習を重ねていました。

 

さて、現代のスタート用具はどのようなものが多いのでしょうか。

卓球ショップやインターネットショップで、初心者おすすめセットのようなものを覗いてみると、こんな感じです。
ラケット:スワット5 コルベル など
ラバー:ファクティブ ロゼナ ヴェガヨーロッパ 全体に2.0や厚を使用 など

実際に、中学校スタートの子供たちが持ってくるラケットを見ても、このようなものが多いです。20年前と比べて、断然に弾む用具に変わっていることがわかります。

コルベル(バタフライ)は、私が中学生の当時、3年生の先輩が使っていたラケットでした。新入部員がコルベルなんてつかっていたら、ぶっ飛ばされます(笑)

このように弾む用具に変わってきた現代の子供たちの卓球のスタートは、その後の成長にどのような変化をもたらしているのか、考えていきます。

弾む用具は楽だけど

例えば、エクスターにマークVの極薄を貼っていた場合、フォアロング、バックロングを打ち込む際に、ラケットとボールを接触させただけでは、ボールは前に飛びにくいですね。したがって、そのスペックが低い用具で、しっかり前に飛ばし、ラリーを続けるために、人間のスペックを上げていくわけです。自分の筋力を増やし、スイングスピードを高め、さらに効率的なボールの打ち方、ボールへの力の加え方、回転のかけ方などを考えて、実践していきます。

正しく打たないとラリーが続かない、相手コートにボールが入らないラケットなので、正しいフォームを覚えようと努力しますし、ラケットとラバーの低いスペックをフルに使いながら、強いボールや回転のかかったボールを打ち出せるようにするわけです。

その中で、打球感覚が磨かれ、弾く、擦る、当てるといった感覚が勝手に身についていったわけですね。

対して現代のスペック高い用具ではどうなるでしょうか。

例えば、コルベルにヴェガヨーロッパの2.0を使っている場合を考えます。

このレベルの弾みがある用具を使っているとすると、ある程度当てるだけでボールは飛んでいきます。ラケットの面を出して、ボールに当てれば相手コートに楽にボールは収まりますし、厚めのスポンジを使っているので、自然に回転もかかるようになっています。

言い方は悪いですが、当て方さえ間違わなければ、適当に振っても、スイングの形が汚くても、インパクトが十分でなくても返球できるので、基礎の基礎の部分をないがしろにしても、ある程度の卓球ができてしまいますね。

ボールはラケットに当てれば勝手に飛んでいく、とりあえずスイングすればある程度の回転がかかるということになると、当たり方、当たった時の感覚、弾く擦るといった区別もあいまいになってきます。

コーチングをする側とされる側に、感覚のずれが生じる

卓球を教える側のコーチは、もちろん擦る、弾く、当てる、ドロップで殺すといった感覚が備わっており、それを生徒に伝えながら、技術の向上を図っていきますが、この感覚が生徒側に無い場合が多いのが、現代の卓球コーチングの難しさです。

打球感覚が磨かれていない場合に、なぜミスをしているのか、どういった類のミスなのか、なぜ入らないのかと言ったことがわからずに、やみくもに打ち続けて、博打のような卓球にならざるを得ません。

例えばサーブを切る、ツッツキを切る、ドライブを強くかけるといった部分に関しても、これまでは用具が勝手にやってくれていたものを、自分の力で切る擦るということを教えることになると、教えられる側もチンプンカンプンになるでしょう。

指導する側は、この感覚がしっかりと生徒に備わっているのかどうかを見極めなければ、伝えたいことが全く伝わらず、上達の速度も遅くなることを理解しなければなりません。

なぜ、コンパクトにスイングしなければならないのか、スイングスピードを上げるのか、ボールの下をすくうのか、腰をつかって、下半身を使って打つのか、これを理解するには、打球感覚の向上と同時並行的に指導していく必要があると思います。

回転がかからない、オーバーミスが多い

よく生徒からもらう質問や要望に「ドライブが入らない」「サーブの回転がかからない」ということがありますが、これらを解消するために、「擦ればいい」「こうすれば回転はかかる」と伝えても、そもそもの感覚がなければ話は通じません。

卓球には、用具で出すスピードと回転の他に、人間が作り出すスピードと回転があります。

後者の方を磨き、教えて伝えていかなければ、そもそもの技術力というものはついていかないのです。

このような症状で悩んでいる人には、私はあえて、弾まない、回転のかからない用具を使わせます。

フォアドライブの回転をかける感覚が無い生徒には、例えば一枚ラバーを貼ったラケットを持たせて、そのラケットで、ラバーを人間が使って回転をかける方法を学ばせます。WRMさんで販売しているアポロ5超極薄のような、めちゃくちゃ薄い裏ソフトを使用させるケースもあります。これらのラバーを貼ったラケットを私が常備しておき、感覚のない生徒に使わせて、打球感覚を養わせます。

すると、段々と擦る弾くといった感じを、肌感覚で覚えるようになり、超極薄ラバーや一枚ラバーでもドライブが入るようになってきます。そこで、元々使っていた、生徒が所有するラケットに変えて、同じ打ち方で打たせると、楽にボールを操ることができるようになるのです。そのボールは以前とは違い、ギュンギュンに回転のかかったドライブになっています。

自分には教えてもらう人がいない、でも打球感覚を身につけたいという人は、敢えて極薄ラバーを貼って練習に臨むのもいいでしょう。これまでの自分がいかに用具に頼って打っていたのかがわかると思います。

まとめ

弾む用具を使って、しっかりと練習できる、さらに長い期間かけて卓球を続けていくことができるのであれば、打球感覚をじっくりと育てていく場合はいいのですが、とりあえず中学校の3年間で、ある程度の結果が欲しいという場合には、速攻で打球感覚を養う必要があるでしょう。打球感覚を養うということは、技術の定着や、新しい技術を覚える際にも必ず役に立ちます。成長スピードを上げるために、薄いラバー、弾まないラケットの使用をしてみてはいかがでしょうか。

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