変わった?同じ? ペン粒 鵜養選手とFrictionSpecial2の新旧比較【卓球用具レビュー】

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ラバー

ペン粒の名プレーヤー達が使用していたフリクションスペシャル2(FrictionSpecial2)は、惜しまれつつも廃盤となった高性能ラバーでした。昨今、製造メーカーであったHallmark社が、昨年ドイツの卓球卸会社CONTRA社に買収されたことで、フリクションスペシャル2は、製造を再開しました。再上陸となったこのラバーは、果たして同じものなのか、それともテイストが変わっているのか、長らくフリクションスペシャル2を使用していた、ペン粒の雄、東北大学の鵜養選手に、新旧の比較試打を行ってもらったので、その模様を交えながらレビューしていきます。

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新旧フリクションの見た目はどう?

今回の試打レビュー、どちらもFrictionSpecial2なので、赤黒のパッケージを「旧」、白黒のパッケージを「新」と呼びます。

鵜養選手が旧フリクションの新品を一枚持っていたので、新旧どちらも新品の状態です。

旧フリクションの画像はこちら

 

新フリクションの画像はこちら

見た目の大きな違いは見受けられません。ラバーの色艶や粒の形状は全く同じ、ロゴマークも一緒ですね。触った感じで、少し新の方が弾力のあるゴムになっているなと感じますが、さほどの違いは見た目や触感からは感じられません。

試打では違いが明確に

それでは試打に移りましょう。新旧ともに新品状態(パッケージを開封してすぐ)で、貼り合わせたラケットはアンドロの和の極~蒼~です。ラケットは同じものを2本用意しました。若干のラケット個体差があることはご理解ください。同じラケットで張り替えを行った形ではありません。

旧フリクションスペシャル2

元々鵜養選手が使用してたラバーですから、性能の良さは本人も織り込み済みです。

ラバー全体が硬く、引き締まった粒高で、低く短く止められるのが旧フリクションの特徴です。鵜養選手も「止まる、切れる、良いラバー」と試打当日もコメントする名品であることは間違いありません。一般的な粒高と比べて、「弾道が低い」「ブロックが飛ばない、低く返球できる」「自分から回転を作り出せる」というペン粒に必要とされる、高いブロックのボールの質が実現でき、回転を生み出すのが不得意な粒高でも、自分から切れるという自在性も持ち合わせています。技量が高ければ高いほど、ラバーの性能をどんどん引き出せる一枚ですね。

受けての側に立つと、硬いシートが生み出す不規則な変化が打ちにくく、さらに短く止まるボールは、踏み込まないと打ちに行けないという取りにくいボールを生み出しています。相手から出されたボールが失速し「止まる」「ボールが沈む」感覚は、旧フリクションならではのクセ球です。

シートが硬く強いため、相手の強いボールに対してフォアでのカウンターもやりやすいので、守備一辺倒にならずにペン粒でも攻撃していくスタイルが作り出せます。

新フリクションスペシャル2

新旧の違いはしっかりと出ました。新フリクションは、旧フリクションに比べて下記のような差が生まれています。

・ラバー全体が柔らかい

・ボールが少し山なりになる

・少しだけ弾む

・素直なボールが出る、旧に比べてクセ球は少ない、受け手は曲がりや沈みが少なく打ちやすい

・カットブロックの回転量は新の方が多い

・対ドライブのカットブロックが切れる

・ボールは失速せずに飛んでいく、受けてからするとボールは自然に飛んでくる

・対強打でのカウンターでは粒が柔らかめでボールに負け気味になるが、攻撃ができないほど柔らかいわけではない、旧よりはやりにくいが問題なし

・自分が意図的にナックルを出したつもりでも、若干の下回転が入る。

鵜養選手のコメントとしては「少し飛ぶ、そして切れる新フリクションスペシャル2、旧フリクションスペシャル2の順で硬い。ちょっと粒が倒れやすくて、下回転の切れ味が高いが、ボールが低くいきにくい」と話しています。

ボールを受ける側としては「旧はボールが揺れている、対して新フリクションスペシャルは打ちやすい。新はボールも山なりにくるので、切れていても対処しやすい。旧は踏み込まないと打てない、新は切れていて長いからまだ楽にドライブできる」というコメントが出ました。

加えて鵜養選手は「新フリクションスペシャルは使い手側も打ちやすい、旧はネットミスも増える、ボールが短くいくがために。」とも話していました。

旧フリクションのカットブロックのボール落下点です。

新フリクションのカットブロックのボール落下点です。

落下点はほとんど変わりませんが、ここから失速するか、そのまま飛んでいくかという違い出ています。旧は失速するため2バウンド、もしくはハーフロングの見極めとなり、新は2バウンドが少なく、1バウンドでエンドラインから出ていくボールが多くありました。

筆者もシェークバック粒で使用してみましたが、明らかに新のほうが柔らかいです。旧の方が、ラバー全体の能力値が高いところにあるが、これをすべて使おうとすると相当の技量が必要なのに対して、新は能力値を若干落としたものの、使いやすさは上がっています。言い方を変えると、旧はプロモデル、新は一般ユーザーでもOKという感じです。フリクションならではの尖った部分が際立たなくなり、ちょっと硬めの使いやすい粒高ラバーという感じになっています。トップレベルが使用するにあたっては、ちょっと物足りなさを感じるかなとも思いますが、今までフリクションスペシャル2を使いにくいなと思っていたユーザー側に寄り添った形になっています。

新が全くダメかというと、そういうわけではありません。全体に変化量は大きく、自在性も担保されているので、良品であることには間違いないですし、多くのユーザーが使用するカールシリーズ、特にカールP1Rなどと比較すると、新フリクションは硬めの仕上がりです。普通の粒高よりは、使いこなすのが難しいラバーになることはお伝えしておきますが、旧フリクションほどキャラクターの強い尖ったモノではなく、マイルドなフリクションスペシャル2というべきでしょう。旧世代を知っているユーザーからするとちょっと違うということがわかるかもしれませんが、これから始めてフリクションスペシャル2に触るというユーザーには、高性能かつ高機能な粒高であることは間違いありません。ラバーが持ち合わせている引き出しは多く、多くの引き出しを開けられるユーザーが使用すると良いでしょう。上級者用粒高の立ち位置は、新旧ともに変わりません。

まとめ

新旧フリクションを鵜養選手にお願いし、徹底比較してきました。新旧比較をすると違いは見えていきますが、新フリクション単体では「良いラバー」ということには変わりがありません。尖ったドラ息子が、独り立ちして丸くなって帰ってきた、そんなイメージがする、フリクションの新旧比較でした。


 

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