変化表ソフトと粒高ラバー どっちがいいの? 【卓球用具選び】

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卓球

前陣攻守の選手やカットマンのように、守備的な技術で相手を惑わし、点数を重ねていく戦型で使われるのが、粒高ラバーや変化系表ソフトです。この2つのラバーは似たイメージを持っていて、どっちにしようかなと迷う人も多いかもしれません。今回は、変化表も粒高ラバーも使ってきた筆者が、この2つの違いと、どうやって選んでいくか、どんな人にはどっちが使いやすいのかを、お伝えしていきます。

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赤井福の変化系ラバー遍歴

私が、変化系ラバーに出会ったのは、社会人になってからです。フォア表ソフト、バック裏ソフトのシェーク前陣速攻をしていて、中学スタートの私は、中高とフォア面にはTSPのスペクトル(のちにスペクトルスピード)を使用していました。このころは、変化系表ソフトというものは全く知りませんでした。

社会人になって、コーチと試行錯誤しながら、フォア面のラバーをとっかえひっかえ変えていく中で、相手の返しにくいボールを送ることで、試合の勝ちにつながっていくのではないかと考えて、フォア面に変化ラバーを貼るようになりました。

使用してきたラバーは次の通りです。

アタック8(ノーマルM粒)、アタック8(48度M粒)、アタック8(53度M粒)、アタック8(スーパーアイバージョン43度M粒)、アタック8(EXX)、アタック8(EXX OX)、コバルト(大粒)、カールPH(OX)、トリックマスター(OX)、スーパーKIM(1.9㎜)、バーティカル20

これらの他にも、ちょい打ちでは、カールP3、ピンプルミニワン、エルフラーク、ドナックル、カールP1、フリクションスペシャル2、フェニックスなどなど、変化系と言われるラバーにはたくさん触れてきています。

変化表と粒高は何が違うのか

この2つのラバーの大きな違いは2つです。

まずは、粒の長さが異なります。変化系表ソフトの方が、粒が短く、粒高の方が長い傾向にあります。これによって変わってくるのが、打球時に粒を倒す必要があるのかないのかです。

もう一つはスポンジ厚やOX仕様があるかないか、という点です。変化系表ソフトでは、OXはとても珍しく、スポンジ厚も厚めのものが多いです。対して粒高では、当たり前のようにOXが用意されおり、設定されているスポンジ厚は薄めのものが多くなります。

粒を使って打つために

変化系表ソフトも粒高も、ピンプルアウト、つまり粒が打球面の方に出ています。裏ソフトと違うのは、「面」でボールを受けるのではなく、それぞれの粒が「点」でボールを受け止める部分になります。点でボールに触るため、ラバーがボールに与える摩擦力は小さくなる傾向にありますが、この粒を上手く使うことにより、裏ソフトと同じように回転をかけることもできるのです。

裏ソフトのように、擦っても回転はかかりません。表ソフトや粒高で回転をかける時には、「粒を一定方向に倒す」か「粒の角に引っ掛ける」という方法になってきます。

粒が長い粒高ラバーの場合には、「粒を倒す」打ち方をすれば回転がかかります。ボールとラバーが接触する際に、ぶつけるのではなく、ボールの縁に沿って滑らかに滑らせていくと、打球時に倒れ込む粒が同じ方向に流れて倒れるようになります。すると、ボールに対して回転を与えていくようになります。

変化系表ソフトの場合には、背の低い粒の角にボールをひっかけるように打球していきます。粒高のようにビロンと粒が倒れるわけではなく、短い粒で反発させるので、粒高よりもボールの離れが早く、強く当ててもコシ負けしないという特徴があります。

どちらのラバーでも、コントロールできないボールが生まれてしまう原因は、粒の開きによるものです。ボールに対してラバーを垂直に当てることにより、粒が一定方向に流れずに広がってしまうため、ボールが安定して飛ばなくなります。いうなれば使い古された歯ブラシのように、毛先がいろいろな方向に散らばった状態になるのです。こうなると、ボールを自分でコントロールすることは難しくなります。ボールに一定の回転がかからないためです。ナックルと言われる無回転状態のボールも、こうして生まれますが、これを出し続けて、さらにコントロールして相手の台に返球し続けるのは、至難の業になります。返球できるもできないも運任せという状態になってしまいますね。

粒を一定方向に流す、粒の先に引っ掛けるという感覚は、粒高や変化表ユーザーであれば必ず身につけてほしい打法であり感覚になります。これがないと、ただ当てるだけ、粒は取っ散らかった方向に倒れ、ボールは安定しない、返球出来ないという症状に行きつくはずです。

ちなみに、粒高のトッププレーヤーともなると、変化表ソフトでも一定方向に粒を倒すことができるようで、私の身近にいるペン粒の鵜養選手は、粒高ラバーではもちろん、アタック8のOXやピンプルミニワンのような変化系表ソフトでも、切れたカットブロックを出すことができていました。

スポンジの厚さと有り無し

次にスポンジの有無と厚さ、硬さについて考えていきます。

変化系表ソフトも、粒高も、相手のボールの勢いで粒が倒れれば倒れるほど変化が出ます。つまり、相手のボールの勢いを、粒だけで受け止める状態が、最も変化量が多い状態になります。変化量でいくと、OX(スポンジ無しの一枚ラバー)が最も大きいです。

ラバーのトップシートの後ろにスポンジをかませることで、スポンジが相手のボールの勢いを受け止める(ボールを持つ)状態になり、粒の倒れ方は小さくなります。球持ちが良くなる分、返球はしやすくなりますが、変化が小さくなり棒球になりやすい点には注意が必要です。

通常、前陣で戦う選手は、異質面で大きなスイングをしている余裕はありません。コンパクトに小さな力をボールに与えて打球し、返球していきますね。そうすると、自分でボールに対しての力をかけることが難しくなるため、自らの力とボールの勢いの両方を上手く使って粒を倒さなければなりません。シェークバック粒やペン粒などは、特に相手の勢いを上手く使わないといけません。そこで活躍するのが、緩衝材のない一枚ラバー(OX)です。

逆に、中陣から後陣に下がって、大きくスイングをするカットマンでは、相手のボールの勢いと、自分のスイングの力の合計が前陣で戦う選手の何倍にも大きくなります。この場合には、ラケットとラバーで、ボールの勢いと自分のスイングの力を受け止めて、ボールを長く持ち飛ばしてあげる必要が出てくるため、薄くスポンジの入った変化系ラバーの方が好まれます。スイングが小さく、カットマンの中でも、コンパクトスイングで切っていく選手はOXでもOKです。

スポンジをかませる理由は様々ありますが、最も重要なのは、ラケットがボールから受ける力の入力と、スイングの力の入力の和を、全て受け止めきれるのかにかかっています。力を受け止めきれなくなったラケットは、力を放出するためにボールを離してしまいますし、強い力を一瞬にして一点にかけられるボールも変形します。するとエネルギーロスが生まれ、ボールが飛ばない、コントロールできないという現象が起きてくるのです。

スポンジを入れるのか入れないのかは、出したい変化量と打ちやすさと相談する必要がありますが、変化ラバーを主軸にして戦う場合には、その変化量を最大限に生かせるセットアップが必要になるでしょう。

ちなみに私のように、シェークのフォア面に変化系ラバーを貼って、強い球を打ち込みながらも、そのボールをナックルにする場合には、厚めのラバーで少し硬めのものを使ってもいいでしょう。フォアハンドはバックハンドよりも力を強くかけることができるので、薄いラバーやOXで、強くインパクトした際に、ボールが思ったよりも早く飛び出してしまいアンコントローラブルな場合には、厚めのスポンジでセットするのも一つの方法です。

スポンジ厚が中や厚の、バーティカル20や、フェイントなどを使用すれば、粒高でフォアドライブをしっかりと回転をかけて打ち込むことも可能になります。(粒を一定方向に倒す技術は必要になりますが)

変化表と粒高、一体どっちを選ぶ

まずは、変化系のボールを生み出したいという欲求があるのであれば粒高ラバーをお勧めします。ヘンテコラバーに思われ、操作性も悪いと勘違いされますが、粒高ラバーは素直なラバーです。打ち返されるボールの力を、最も効率よく変化にかけられるのは粒高ラバーの特徴ですし、当てるだけでどうにかなってしまうのも良いところではあります。粒を一定方向にしっかりと倒す打ち方を覚えれば、回転をかけるのも自在になりますし、安定して返球するのには、変化系表ソフトよりも粒高ラバーです。

対して変化系表ソフトは、粒高ラバーよりもクセが悪く、相手も打ちにくいですが自分も打ちにくいラバーです。思いがけない変化や、強い球を打てるのは変化系表ソフトになりますが、その操作性は高いレベルを要求され、普通の表ソフトの感覚で使用すればミスの連発は避けられません。

福原愛選手が、アタック8を使って、あのようなスピードボールと緩急の窮まったブロックができるのは、練習の賜物であり、あのラバーを使えば誰しもが、魔法のようなプレーをできるわけではないことを理解しておきましょう。特に粒の高めの変化系表ソフトは、レベルが高くなれば「打てる」「止まる」ラバーになりますが、パッと貼って使っても、何も怖くない棒球しか生まれませんし、しっかりラバーを使えないと、ボールは取っ散らかった状態になり、自滅で負けます。

変化系表ソフトの中には、打ちやすい系のものもあり、総じて粒は低めで、普通の表ソフトと見た目は全く変わらない、でもトップシートが少し柔らかいというものがあります。打って守って、時々ナックルくらいで良いかなと思うのであれば、こちらの選択肢もありです。ただし、普通の表ソフトよりは打ちにくくなるのは必至ですので、鍛錬を積む必要はあるでしょう。例えばフレンドシップ729-563のようなラバーです。

スマッシュも打ちたい、変化ブロックもしたい、だから両方できそうな(強く打ちやすいといわれている)変化系表ソフトにするという選択肢には、ちょっと待ったと言いたいですね。簡単にそんなことができるのであれば、みんな使っています(特に女子選手では大流行するでしょう)でも、実際には変化表ソフトを使っているのはごく少数です。ここに答えが眠っています。

まずは変化系ラバーを使うのであれば、粒高ラバー、そこでしっかりと変化する守備を覚えて、そこから変化系表ソフトにするのか粒高を極めるのかを判断すると良いと思います。

まとめ

選び方が難しい、何が違うのかイマイチピンとこない、変化表と粒高のお話でした。どちらのユーザーが多いのか、それは粒高ですね。そこに使いやすさと、使いこなせるのかというヒントと答えが出ているようにも感じます。まずは素直に粒、そしてさらに独創的なプレーをするなら変化表という選択肢が出てくるでしょう。粒高ラバーと変化表の選び方の助けになれば幸いです。



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