TRiADを徹底試打 このラケットの底力は計り知れない 【卓球用具レビュー】

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ラケット

巷で少しずつ話題になっているTRiAD、前回はその美しさとラケットが持つ機能美について考えていきました。
nevaGiva TRiADは、高級木工品のようなラケット 【卓球用具レビュー】

今回は、1時間かけて様々なラバーで試打を行った模様をお伝えしていきます。
個人的な主観も入りますので、そのあたりはご了承の上で読み進めていっていただけますと幸いです。

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試打方法を紹介

今回の試打に用意したラバーはこちらです。
裏ソフトラバー:GEWO Nexxus EL Pro 43 2.1mm 黒
表ソフトラバー:銀河 天王星 2.0mm 赤・黒
一枚ラバー:ニッタク ピンプルミニワン OX 黒

ラケットは3種類の組み合わせを行いました。
裏ソフト×表ソフト、表ソフト×表ソフト、一枚ラバー×表ソフトの3種類です。

基本的には上回転のボールを送ってもらい、強弱をつけて打感をチェック
ボールの走り、回転量、打ちやすさなどを個人的な主観で調査していきます。

試打の模様は、動画に短くまとめました。
打球音やボールの軌道などをご覧ください。

裏ソフト×表ソフト

裏ソフト

まずは裏ソフトラバーでの使用感をみていきます。ぐっちぃさんも使用しているラケットということで、裏ソフトとの相性としては文句ないだろうと思っておりました。

今回はラケットの打感をわかりやすくするために、あえてラバーは柔らかめのものを使っています。

ファーストタッチ、ラバーの力以上に弧線がしっかりと出る球持ち感、そして軽いタッチで当てているにも関わらず、ボールはしっかりと走っていきます。ラケットの重量がそうさせているのかもしれません。コンパクトなブレードで振り抜きやすい重心位置なので、180gを超えているラケットとは思えないほど、軽く振り切れます。グリップ寄りの重心がここまで効くのかと感嘆です。

コンパクトに振りぬくと、グリップ寄りの重心位置が、腕のスイングを適当な位置で終える役割をしてくれていて、無駄に大きなスイングにならないのもいい点です。ドライブなどの大きなスイング軌道を作ろうとしても、しっかりとコンパクトにまとまるため、戻りが早くなり、連続でボールを打ちこむことができます。薄いファイバー系の特殊素材が入ったような、グッとボールを掴んで飛ばしてくれる打感になるので、ドライブは非常に打ちやすいです。11枚合板という硬さをあまり感じないのが裏ソフトでの使用感になります。

裏ソフトでドライブをかけていくと、高い弧線と強い回転がしっかりと発生し、重いボールが相手に飛んでいきます。ヘッドがクルンと自然に返るため、インパクトが強くなりすぎない、しっかりと擦れるラケットです。筆者の場合、ニュートラルからちょっとバックハンドグリップ寄りに握るためか、ヘッドの返りが少し早くなり、巻き込みドライブ(カーブドライブ)の形になりやすくなりました。シュート系の打ち方よりも、カーブ系の打ち方の方が、しっくりとくるのかもしれませんね。

表ソフト

主にバック面で使用しました。

裏ソフト使用の時とは違い、ラケット表面の硬さが際立つ打球感になります。球持ちは短くなり、パチンパチンを弾きやすい、硬めの素材のラケットに変貌したようです。

ラケットブレードが小さく、グリップも短いため、ラケット自体のしなりやたわみが少なく、スイング方向に正確にボールが射出されていきます。力の入れ具合にも敏感に反応し、スイングスピードを上げると、しっかりとボールにスピードが乗った状態で飛ばせますし、ブロックでは、ボールの勢いをラケットが吸収してくれるので、ナックル系のふわっとしたブロックも楽にできます。

表ソフトと使用すると、硬めの7枚合板(ウォルナッドウッドのような硬い素材)を使用した打感に近く、ファイバー系のしなやかさや、弾力は感じにくくなります。カツカツとした打感で、ミート系技術はしっかりとナックルになって飛んでいき、表ソフトの嫌らしさを出しやすいラケットでしょう。個人的には、普段はバックに変化系表ソフトを使うので、もう少しゆっくりと球離れが起きてくれると打ちやすいかなという感じです。

正統派のバック表ソフト(しっかりと攻撃主体で行く選手)には、パチパチ感が心地よく、使いやすいラケットなのかなと思います。

表ソフト×表ソフト

フォアにも表ソフトを貼って、両面天王星を装着した状態で打っていきます。ジョニーファン状態です。

強くミートができるフォアハンドでは、スマッシュが非常に打ちやすいです。硬い打球感と、早めに離れる球離れの良さがベストマッチして、直線弾道の強いボールが飛んでいきます。

大体、筆者のフォアスマッシュを打ちこむと、ラケットが衝撃に耐えきれなくなり、ボールが死んでしまうのですが、さすがの11枚合板、そして重さのあるTRiADは、しっかりと衝撃を受け止めて、その力を余すことなくボールに伝え切ります。コンパクトにスイングスピードを上げていっても、意図したところにコントロールでき、かつスピードの速いボールが相手コートに突き刺さります。

フォアバックともに、表ソフトでは、回転をかけることを中心にするよりは、弾きの良さを使って、ミート主軸で戦う選手に向いているような気がします。回転系表ソフトよりも、よりスピードの出る縦目のスピード系表ソフトだと、さらに気持ちよさ倍増という感じです。

さきほど、打ちやすかったバック表ソフトですが、フォア面にも表ソフトを貼った状態では、少し打球感が変わりました。持ちが長くなり、先ほどまでのパチンパチンという感覚が少し無くなります。回転はかけやすくなったものの、爽快な音と気持ちよさがどこかへ。ラケット総重量が少し軽くなった影響なのか、表ソフト同士が喧嘩しているのか、真意は定かではありませんが、片面に裏ソフトを貼ったほうが、表ソフトの打感は良い状態が続くことがわかりました。

現在使用している、タイニーダンサー02では両面表ソフトを貼っていても違和感なく使えているので、少々この変化ぶりには違和感があります。ただ、ダーカーのアクアブレードαでも、両面表ソフトにした際に、同様の打球感の変化が起きたので、ブレードサイズの小さい、90g代後半のラケットだと、同じことが起こるのかもしれません。タイニーダンサー02はブレードが大きく、ラケット重量の110gと超重量級なので、ちょっと普通の感覚とは違うのかもしれませんね。

一枚ラバー×裏ソフト

最後に一枚ラバーで試打してみました。使用したのはピンプルミニのOXです。

バックで変化というよりも、フォアで打ちこんでどうなるのかを知りたかったので、一枚ラバーでフォアロングです。

ファーストタッチでボールはネットへ直行、これは良い合図です。一枚ラバーを使ってフォアロングを打つと、多くのラケットではオーバーミスになります。ラケットがボールを受け止めきれずに、もう無理となって弾かれてしまうためです。そのため、フォア一枚ラバーでは、ロングボールに対して抑え込む動きが必要になりますが、ネットミスになるということは、ボールの勢いを、ラケットが受け止めた証拠、力を足していく方向で調整ができるラケットはほとんどありませんので、TRiADのラケット自体の性能の高さが、ここでも感じられます。

ロングボールに対してスイングしたボールは、前方へ飛びながらもしっかりとナックル、というか、えげつないナックル、フォアロングが揺れながら曲がり、落ちていきます。あるときはボールが止まる、まさに魔球のナックルです。強くパチンと弾くと、表ソフトの時のようにしっかりと直線弾道で相手のコートに刺さっていき、一枚ラバーでの攻撃にもしっかりと対応できています。

ブレードの小ささが、無駄なしなりを無くしてくれるため、ラケット側でのパワーロスが少なくなり、一枚ラバーのようなスポンジでごまかしの効かないラバーでも、ボールにパワーがしっかりと伝わってくれるのでしょう。最近はやりの攻撃する粒高スタイルでも試してもらいたいラケットです。

上のtweetのリプライに、WRMのやっすんさんがコメントを入れてくれまして、「極薄ラバーも最高です」とのこと。分厚いスポンジでごまかしの効くラバーには、適するラケットは多いですが、薄いスポンジやOXのようにごまかしの効かないラバーで、最高!を言わしめるのは、たぶんTRiADだけじゃないかなと思います。

シェーク単板、3枚、5枚、7枚、特殊素材などなど、様々な材質や合板のラケットを打ってきましたが、多くはラバーのスポンジありきで作られているものが多く、ねじれ、しなりなどの動きや、勢いを受け止めきるだけの強さがラケットにはありません。そのためOX使用や、薄めのスポンジのラバーを使う選手は、ラケット選びに苦労します。私も、現在のタイニーダンサー02(OXの粒高を貼ることを前提に設計されたラケット)に出会うまでは、大変な苦労をしました。自分自身も表ソフトで薄めのスポンジを使うので、ラケットの屈強さや重さは大事なファクターになります。

そういった中で、重いけどコンパクト、という今までのラケットの常識を大きく変えたTRiAD。普通なら大きいから重い、小さいから軽いのが当たり前なので、小さくて重いというのは非常にあたらしい視点です。

今回、裏ソフト、表ソフト、一枚ラバーと様々なラバーで試打しました。使うラバーによって、その表情を変えるTRiAD。しかし変わる表情は、そのラバーの特徴を引き出すために変化しており、悪い方向に動くことが全くありません。裏ソフトはより裏ソフトらしく、表ソフトは表ソフトらしく、OXはOXらしくしてくれるラケット、こんなラケット使ったことがありません。

11枚合板、特徴的なブレード、グリップ、と少しとっつきにくいところがあるかもしれませんが、他人には理解されないラケットの悩みを持っている方、TRiADを手に取ってみてください。

あなたの理解されなかった悩みを理解してくれる存在がTRiADなのかもしれません。

(※打感、使用感については、個人の感覚ですので、全ての方に当てはまるものではありません。)

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