ラージボールに硬式用表ソフトを使うとどうなる?スペクトルで実験してみた 【卓球用具レビュー】

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ラバー

ラージボールは、44mmのボールを打ち合う卓球です。硬式(40㎜ボール)とは違い、軽くて大きなボールは、打ち合うボールのスピードを落とし、回転を少なくすることで、よりラリーが続きやすい卓球として、レクリエーション要素を大きくしたものとして誕生しました。

現在では、レクリエーションとしてはもちろん、競技としてしっかりとした地位を確立し、全国大会も開かれる、もう一つの卓球として楽しまれています。

ルールとして、硬式よりも高いネット、使えるラバーは表ソフトラバーだけという規定があります。
そこで、硬式での使用ラバーが両面表ソフトとなった赤井福が、そのままラージボールを打ったらどうなるのか、試してみました。

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表ソフトの大ベストセラー「スペクトル」でラージボールに挑戦

ラージボールもしっかりと競技として認知されており、専用ラバー、ラケットの開発も進んでいます。

表ソフトラバーに限定されたラージボールでは、専用ラバーはもちろん、硬式用に開発された表ソフトを使うこともできます。硬式あがりのプレーヤーがラージボールをプレーする際に、表ソフトラバーは専用のものに必要があるのでしょうか。

まずは、硬式と同じセットアップのラケットで、ラージボールプレーしてみました。

使用したのは

  • ラケット:タイニーダンサー01
  • ラバー:スペクトル(無印) 厚さ:厚 ラバー硬度:35±3度

こちらのセットアップで挑戦です。
ラージボール専用ラバーと比べると、スポンジ硬度は少し高め、粒形状も太く密集しています。

この状態でラージボールを打つと、「パチン」とボールとラケットが接触した瞬間に高い音が鳴ります。ラバーから発生する音ではなく、ボールが変形して出ている音だと確認できました。

打っていて、ボールがラバーに食い込んでいるという感覚は少なく、トップシートからスポンジに力がほとんど伝わることなく、ボールが飛んでいきます。ボールの飛びも悪く、飛距離がでません。

使っていて、ボールが打てないということは無いのですが、変形したボールによる飛びの悪さはネットミスを多く引き起こし、さらに打ちこむボールにもスピードがありません。

 

一つ、利点があるとすると、ナックルボールの出やすさがラージボール専用ラバーに比べて高い点です。ボールは飛び出してから直線的に相手コートに飛んでいき、ボールが揺れています。自分が打ちにくい分、相手もボールの変化に打ちにくさを感じているようで、揺れたり沈んだりするボールの変化に戸惑っていました。また、回転がほとんどかからないスペクトルでの打球は、ドライブの打ち方をしても、スマッシュを打ちこんでも、ナックルボールが飛んでいき、相手のラケットに当たった途端にボールが落ちるという状況になります。

ただし、初速だけが速く減速率の高いショットは、相手に慣れられると、そのままカモにされてしまうことが多かったです。やはり、ボールが変形してしまい、飛ばなくなるので、ラージボールでは苦戦が強いられそうです。

スポンジ硬度をラージボール専用ラバーとほぼ同等にしてみたら?

TSPのラージボール専用ラバー「ファイナルスピードスポンジ」のスポンジ硬度は30±3度となっています。このスポンジ硬度と同じ値を示しているのが、スペクトル21スポンジです。

数値上のスポンジ硬度は同じ、そして厚いラバーを使うのがラージボールのラバーの選び方になるので、スペクトル21スポンジの中でも最も厚い、特厚を使って、ラージボールへ挑戦します。

ラバーのトップシートはスペクトルと同じ、スポンジの色も無印スペクトルとほとんど同じですが、スポンジ面には厚さの左上に「21」と書かれています。

ラケットは同じくタイニーダンサー01を使用、特厚スポンジ&柔らかスポンジで、ラージボールに適応できるのでしょうか。

 

無印スペクトルを使った時に比べて、ボールの変形音は少し軽減されましたが、それでもパチンパチンと音は鳴っています。ラージボールの上級者は、パチン音がかなり小さく打球できるのに対して、やはりどうやって打っても、パチン音が鳴りやみません。

無印スペクトルに比べれば、スポンジに少し食い込み感が出ているのは感じられますが、それでもトップシートの硬さが、ボールを変形させてしまうようで、球持ちはラージボール専用ラバーに比べると劣ります。もちろん飛距離も出ません。

回転のかかりや、ボールのスピードが出ないのは相変わらずの状態で、硬式に近い感覚でラージボールを打つことはできませんし、ボールが飛ばないことを意識しながら使うので、プレーの精度も落ちていきます。

 

どうやら、ラージボール専用ラバーと硬式用表ソフトラバーの大きな違いは、スポンジ硬度もさることながら、ラバーのトップシートの柔らかさに違いがあるようです。また、大きなツブ直径は、ラージボールを扱うには力が加わりすぎ、ボールを変形させる要因にもなっているようです。

そのためラージボール専用ラバーは、柔らかいゴムを使い、粒直径も小さくして、ボールを面ではなく、点で支えるようにしています。これにより、ボールの変形を最小限に抑えて、スイングの力を効率よくボールに伝えているのです。

21スポンジという、超軟質なスポンジをつかってもなお、硬式用表ソフトラバーは、ラージボールには硬すぎるという結果になりました。

ラージボールには、やはりラージボール専用表ソフトを使うべき

スポンジ硬度だけでは、ボールの飛び方や打感を語れないのが卓球のラバーです。このブログでは、時々「ラバー全体硬度」というものを硬度計を使って出していますが、ボールに与える影響はスポンジの柔らかさと、トップシートの柔らかさの両方が合わさって作り出します。

  • スペクトル:45HC
  • スペクトル21スポンジ:40HC
  • ロイヤルラージ:23HC

それぞれのラバーの打球面で測った、ラバー全体硬度になります。明らかに大きく数値が違うことが分かりますね。

ちなみに、WRMさんで販売されている、超軟質スポンジで異色の粒高ラバー、スーパーKIMでも全体硬度は31HCとなります。

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ロイヤルラージと同じくらいのラバー全体硬度の表ソフトは、アームストロングのアタック8EXX PZC-SPくらいです。(このラバーは硬式・ラージ兼用ラバーとして販売されています)

ラバー全体の硬さが、ラージボールでは影響を大きく及ぼします。硬式用表ソフトでは、どうしてもトップシートが硬くなってしまうので、ラージボールには不向きということがわかります。

まとめ

ラージボール用表ソフトを硬式で使用することはできそうですが、その逆は難しいという結論が、今回の実験でわかりました。硬式に比べると大きくて軽いラージボール、その特殊性は、使うラバーも限定してしまうものでした。

相手への打ちにくさや、弾道の変化を持たせるために、硬式用表ソフトを使うのは一つの手ですが、その選択肢も限定されるものと考えられます。先ほど挙げたアタック8や、カールP2のような変化系表ソフトであれば、ラージでも嫌らしさを出すことはできるかもしれませんが、スピード系、回転系の表ソフトは、ラージでその真価を発揮することはできないと考えて良いでしょう。スピードと回転を求める時には、迷わずラージ専用ラバーを使うべきです。


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