中級者も使えるテナジーのようなラバー? QUANTUM X PROレビュー【卓球ラバーレビュー】

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ラバー

TIBHAR

↑これ何と読みますか?

「ティバー」と読めたあなた、正解です。ちょっと聞き馴染みの薄いメーカーですが、良い用具をたくさん出している卓球ブランドでもあります。ベラルーシのサムソノフ選手、日本では田添選手が契約選手として活躍していますね。そんなティバーが出したNEWラバー、クァンタムエックスプロを試打しました。エボリューションMXPや粘着ラバーのハイブリッドK1Jを出してきたティバーの新作は、どんなラバーに仕上がっているのでしょうか。

 

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真っ赤なパッケージで目指すはテナジー・ディグニクスか?

まずは基本的なスペックから見ていきましょう。

ティバー独自の技術が多く使われる新ラバーは、回転系テンションラバーです。厚さの展開は1.8、2.0、MAXの3種類、スポンジ硬度は47.5度で、価格は5,500円(税抜き)となっています。回転系テンションラバーとしては安めの設定で、ライバルが軒並み6000円以上の価格を付ける中、価格競争としては非常に頑張った値段といえるのではないでしょうか。卓球専門ネットショップで購入すると、おそらく4000円くらいで購入出来てしまいますね。

真っ赤で光沢のあるパッケージは、超目立ちますね。

今回は黒の2.0を入手しました。

トップシートは少し光沢が強く、テナジーやファスタークG1系の光り方です。ラザンターR48、V15エキストラやラクザXとは違い、トップシートはコシのある柔らか系になるのではないでしょうか。この輝きはボールの持ちが良さそうです。

目のぎっしりと詰まったスポンジ面。硬度は47.5度ですが、気泡が小さい分、弾力が強く感じます。

前回のDNA pro Hとは大きく違うスポンジの系統ですね。

スポンジ硬度50度って硬いのに硬くない? DNA PRO Hはコスパの高い高性能ラバー 【卓球ラバーレビュー】

カット前のラバー重量は65.6gです(2.0を使用)

ブレードサイズ157×150mmに貼り付けたところ、カット後の重量は45.9gとなりました。

ラバー全体硬度は、スポンジ硬度47.5度付近のラバーと比較

それでは、クァンタムエックスプロのラバー全体硬度を調べましょう。ラバー全体硬度とは、トップシートとスポンジの両方を合わせた、卓球ラバーとしての硬度を測定したものです。単位はHCで、数値が大きくなればなるほど硬くなります。

 

クァンタムエックスプロのラバー全体硬度は、52.0HCでした。

ライバルとなりそうなラバーの全体硬度を並べておきます。

  • TIBHAR QUANTUM X PRO 厚さ2.0 全体硬度52.0HC (スポンジ硬度47.5度)
  • andro RASANTER R48 厚さ2.0 全体硬度49.0HC (スポンジ硬度48度)
  • VICTAS V15 Extra 厚さ2.0 全体硬度55.0HC (スポンジ硬度47.5度)
  • VICTAS V11 Extra 厚さ2.0 全体硬度46.0HC (スポンジ硬度47.5度)
  • TIBHAR Aurus Prime 厚さ2.1 全体硬度50.0HC (スポンジ硬度47.5度)
  • ミズノ Q4 厚さ2.1 全体硬度50.5HC (スポンジ硬度47度)
  • ニッタク ファスタークG1 厚さ厚 全体硬度52.5HC (スポンジ硬度47.5度)
  • GEWO Nexxus EL Pro48 厚さ2.1 全体硬度50.0HC (スポンジ硬度48度)

最も近い値だったのが、ファスタークG1です。これより少しラバーとしては柔らかめという感じなのでしょう。

クァンタムエックスプロを実際に打ってみた

それでは試打に行きましょう。

ラケットはヤサカのギャラクシャ、ラバーはクァンタムエックスプロ2.0とスティガのDNA pro Hを貼り合わせてあります。ラケット総重量は191.1gです。

フォアバックの軽打

初打ちの印象は「これ柔らかい」です。硬いラバーの好きな、というか硬いラバーを使うことが多い筆者としては、かなり柔らかいラバーに感じます。スポンジよりもトップシートの柔らかさが、より目立って感じられます。

軽打の際には、スポンジまで含めて食い込むという感じは少なく、柔らかく変形しやすいトップシートだけで、十分にボールが飛んでいくので、フラットに打ちこむとちょっとオーバー気味になります。少し回転をかけてあげる(ラケットをフラットから少し傾けた状態)にしてあげると、ボールはしっかりと回転を生み、弧線が安定するんのがわかりますね。

ラバーに当たった瞬間に手元でグッとボールが持ち上がるのが分かり、弧線も手元で高く持ち上がる感じです。伸びていくとか直線的にというよりも、「安定した、コントロールの良いボール」を常に生み出してくれるラバーになります。

ミート系の強打(スマッシュ系)

対上回転の強いミート系技術を使うと、ボールは飛びすぎる感じを受けます。ラバーがしなって、ボールを飛ばす力が大きくなり、とてもよく飛ぶラバーです。スピードが速いというよりも飛距離が大きく出ます。ちょっと下がってミート系で盛り返す、またはフィッシュやロビングは、やりやすいですね。振らなくても当てるだけである程度の飛距離が出るので、後陣でのしのぎは楽です。

前陣でミート系は、ちょっと飛びすぎる感じがあり、個人的には使いにくいラバーでした。ミートで前で使うなら、もっと飛距離の抑えられたラバーの方が好きです。下回転をミートで持ち上げるなら楽に持ち上がるラバーですね。

スピードドライブ・ループドライブ

回転をかけやすい(回転の影響を受けやすい)トップシートは、ドライブに最適です。中陣からでも安定してしっかりと相手コートへボールを落とすことができます。当て打ちよりも擦り打ちの方が、ラバーの性質としては合っている気がします。手元でラバーの力で持ち上がるので、ラケット面を寝せていって擦り打ちをしていくと、ボールは伸び、回転量も速度も上がっていきます。スポンジまで食い込ませるインパクトは、そこまで大きくなくともいいボールが飛んでいく感触を受けました。

タイプとしては、ラザンターR48や、テナジー64を打った感じに似ていますね。

強い力を加えなくてもラバーがしっかりと変形するので、時間がない前陣でも、力の小さい中学生やレディースでも使いやすいラバーになっているのではないでしょうか。しっかりと強く打てる上級層はもちろんですが、中級層でも伸びるボールをコントロールできる安心感が感じられます。

台上・サービス

柔らかめのシートなので、回転の影響はそこそこ受けます。ただし回転をかける力も大きいので、回転の上書きでレシーブする選手は、切ったツッツキやストップ、チキータでレシーブしてくといい結果が生まれるでしょう。逆に当てるだけ、回転に沿って逆らわないレシーブをするには、ちょっとしたコツが必要です。モロに回転の方向にボールが飛び出していくので、少しだけ回転を消してあげるふわっとした触り方が、なぞる系のレシーブには必要になります。

サービスもふわっと切るのであれば、大きな回転が出ます。ガツンとスポンジまで食い込ませて当てるサーブだと、スポンジがボールを持つ前に、トップシートがボールを弾いてしまい、上手く回転がかからないかもしれません。

力を入れない、しなやかなスイングという、卓球の基本原点に立ち返った時に、良いボールが出せるラバーです。

まとめ

クァンタムエックスプロを試打してきました。今回はオーソドックスな7枚合板で試したのですが、スポンジ硬度47.5度のテンションラバーとは思えない、柔らかさを感じてしまいました。しっかりとインパクトが出せるユーザーは、ラケットを特殊素材、特にアウターのカーボンと合わせてあげると、打感が少し硬くなり、飛びすぎていた飛距離が少し落ち着くのかなとも感じました。

全体的には、多くの人が扱えるテナジーという印象で、抜け目がなく高い性能が持ち味です。個人的にはトガったラバーが好きですが、このラバーは総合グラフが円に近く、大きいラバーになるでしょう。使いこなせないテナジー・ディグより、使いこなしやすいクァンタムエックスプロ、守備範囲の広いラバーでした。

 

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