マツケンの考える理想がここに!ハイブリッドMKを徹底解剖【卓球ラバーレビュー】

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ラバー

TリーグのT.T彩たまで活躍する松平健太選手。元はタマス(バタフライ)の契約選手だったが、現在はTIBHARと契約し、活躍を続けています。電撃移籍にも驚きましたが、TIBHAR契約に変わった後も、成績を一切落とすことなく、トップレベルで戦い続けているのがすごいところです。

タマスとの契約時にはディグニクス09Cやディグニクス05、テナジー05といった、卓球メーカー各社がベンチマークにするラバーを使用し活躍してきた松平健太選手。TIBHAR契約後に、バック面のラバーをハイブリッドK3に変更し、しっくりいった様子を見せていましたが、フォア面のラバー選びに苦労していました。一時期はエボリューションMX-Sを使用していましたが、納得がいかなかったようで、自身が監修するラバーを作り出してしまいます。

これが今回紹介するハイブリッドMK(MKは松平健太のイニシャル)。ディグニクスやテナジーを知るトッププロが作り出したラバーはどんなものなのか、他のティバーラバーとは何が違うのか、ハイブリッドMKを徹底解剖していきます。

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ハイブリッドMKの基本スペック

まずは、いつものメーカー公表値を見ていきましょう。

ハイブリッドMK
回転系テンション OFF+
厚さ:2.0mm MAX
スポンジ硬度:48度
メーカー小売り希望価格:7,590円(税込)
スピード125 コントロール110 スピン125(TIBHAR社内測定値)

TIBHARの中でハイエンドラバーに分類されるのはハイブリッドK3とエボリューションMX-D、エボリューションMX-P50の3枚。いずれもスポンジ硬度は50度以上で、トップ選手にはマッチするものの、一般ユーザーにしてみれば「硬すぎる」そして「飛びすぎる」という代物が多かった印象があります。

こうした中で、ハイブリッドMKが、一般ユーザーからの支持が熱い48度という中間硬度帯を選択したのは非常に興味深い点。松平健太選手の中でも、大きく口に出してはいないが、以前使っていたディグニクスやテナジーと比較して、ハイブリッドMKが同程度、もしくはそれを超えるラバーになるという可能性をもって、TIBHARへ多くの要望をしたはずです。

同様の観点から製造されたのがVICTASのV20ダブルエキストラだと私は思っています。こちらは元タマス契約の岸川聖也選手がVICTASに移籍して開発したラバー。こちらのベンチマークもテナジーでしょう。V20のスポンジ硬度は52.5度で、ハイエンドラバーらしく硬めのスポンジを合わせる手法を取りました。

こうした、対テナジー・ディグニクスを意識したときに、スポンジ硬度は高くなるはずなのですが、ハイブリッドMKではスポンジ硬度を下げています。この意味は何なのか、実際のラバーを見ながら数値を測定し、検証していきましょう。

硬さが正義ではないことをMKは証明する

では、実際にラバーを見ていきましょう。

漆黒のパッケージにMKという文字が浮かび上がるパッケージ。これだけでもうかっこいい。ハイブリッドK3の時もそうですが、最近のTIBHARラバーは、パッケージから手に取りたくなるデザインに仕上げていますね。

トップシートは明るい赤。エボリューションシリーズではくすんだ赤を使っていますが、ハイブリッドMKではハイブリッドK3に近い明るく光沢感のあるシートに仕上がっています。

シート自体は少し厚めですが、指で押すとシートも変形するくらい弾力があり柔らかさというかしなやかさがあります。最近のハイエンドラバーだと、シートは指で押したくらいでは変形せず、そのままの形を保ってスポンジに突き刺さるので、こうした触感は珍しいです。

薄めのシート(例えばラザンターR48やC48など)では、シートに張りがありつつも薄いので指で変形するというのはありますが、こちらはハイブリッドK3やMX-Dなどと同じように、しっかりぶ厚いトップシート。ここにしなやかさを合わせてきたところが、これまでのTIBHARラバーとは大きく違うところです。

モールド付近はシンプルです。あえて光をあてて粒立ちをさせてみましたが、内部の粒がラバーシート表面に浮き出てくることは無く、こちらでもシートの厚さを感じることができました。

スポンジはやや小さな気泡が目立つものです。クリーム色という点ではハイブリッドK3と同じなのですが、K3のスポンジは気泡がほとんどなくモチっとした感じ。対してMKはスポンジの繊維がしっかりと立っていて、芯があるのですがフカフカな感触を残しています。

スポンジの系統としてはクァンタムXプロに近いですが、完全に同じというわけではありません。

接着剤を塗った後のスポンジ表面です。使用したのはアンドロのターボフィックスですが、1度塗って乾かすと、ほとんどスポンジ内部に吸収されてしまいました。吸い込みが激しいスポンジなので、ドロドロ系の接着剤の方が合っていると思います。今回は仕方ないので、ターボフィックスを二度塗りしています。

今回使用する厚さは2.0mm。カット前のラバー重量は68g、カット後は43.4gです。

軽い!それもめちゃくちゃに軽い。どんなに軽いのか、過去に使ってきたティバーラバーと比べてみましょう。

ハイブリッドMK:43.4g
ハイブリッドK3:47.0g
クァンタムXプロ:45.9g
ラピッド:41.9g
クレイジーブル:40.7g
エボリューションMX-D:50.3g
エボリューションMX-S:51.0g
エボリューションEL-D:48.8g
エボリューションEL-S:48.8g
エボリューションFX-D:57.6g
(ラバーの厚さは2.0mmで測定、エボリューションシリーズは1.9mmで測定)

いかがですか。クァンタムXプロより軽いのには驚きました。こんなに軽くて大丈夫?と心配になるほどです。しかし、性能面では期待値以上の実力を発揮してくれます(後述)

最後に、ラバートップシートとスポンジを合わせたラバー全体硬度ですが、ハイブリッドMKは48HCでした。こちらも比較すると

ハイブリッドMK:48HC
ハイブリッドK3:52HC
クァンタムXプロ:48.5HC
ラピッド:48HC
クレイジーブル:43HC
MX-D:50HC
MX-S:51HC
EL-D:47HC
EL-S:49HC
FX-D:48HC

ラバー全体としても柔らかめであることが分かります。これが実際の打球感にどのような影響を及ぼすのか。続いて試打に移ります。

ボールに負けない強いラバーでありながら抜群のコントロール性能がある

ハイブリッドMKを張り付けたのは、アイクルというヤサカのオールドラケットです。純木材の5枚合板で、ビギナーラケット程度の弾みがあると考えてください。張り替える前にはエボリューションEL-DとFX-Dを張り付けていましたので、そちらとの違いも含めながら、打球後の感想を綴っていきます。

まずは、軽い。これにつきます。両面2.0mmのラバー(反対面にはジキル&ハイドのX47.5 )で、アイクルのラケット重量が79.4gというのもありますが、両面裏ソフトでラケット重量が166.9gという驚愕の数値。ハイエンド=重いラバーというイメージがありますが、ハイブリッドMKは、ラケットのダイエットを必ず実現させてくれるでしょう。

軽く上回転の軽打をしていくと、シートの硬さは少し感じますが、カチンと飛ぶよりもボールをグッとつかんで飛ばしてくれるラバーであることが分かります。ボールの射出方向は結構上です。引っ掛かりが強く、シートも強いため、十分な放物線を描き、相手コートの深めの位置に落ちてくれます。

ミート系で強くたたくと、ネットを超える分だけ上方に飛び出しますが、その後は回転がしっかり乗っているのもあり、比較的真っ直ぐに近い弾道で飛んでいきます。しっかり当てるとカキンという気持ちいサウンドが鳴りますが、じゃじゃ馬感は無く、素直にボールが収まってくれるイメージです。

ドライブでは、2種類の打ち方を試しました。一つはMX-Dなどでいいボールが行くボールにぶち当てるドライブ、もう一つはボールの上をしっかりととり擦るイメージを強くしたドライブです。

結論から行くと、ハイブリッドMKでいいボールが行くのは後者。ボールの上をとればとるほど、厳しく回転のかかった鋭いボールが飛んでいきます。シートとスポンジの包容力が高いため、「ここ触ったら落ちるよね」という部分まで踏み込んでボールを捉えに行っても、ボールをつかんで離さないため、早い打点での台上ドライブは気持ちいいの一言。

個人的には打点の早くできるバック面でぎゅんぎゅん伸ばしていけるラバーだと感じました。実際に私はバック面で使っています。

もう一つ感動したのが、ループドライブの質の高さ。シート単体に引っ掛けるように打っても、シートが負けることなく、ボールを放り投げてくれるので、回転の乗った重いループが出ていきます。離れたところからでも飛距離は十分で、弧線が出しやすいラバーなので、相手コートの深い厳しいところに自然に伸びていってくれる感覚。

同種の感覚はテナジーにあるのですが、個人的にはテナジーの感覚が苦手で、手元でコントロールできる幅が狭く、オートマチックに深くボールが飛んでいく感が強く、打っている感が欲しい自分ではテナジーを好んで選ぶことはありませんでした。ただ、深く飛んでいくテナジーの良さは理解しています。

ハイブリッドMKに関しては、テナジーの弾道を持ち合わせながら、手元で操作するための遊びを残してくれている感覚です。実際に、台に近づいても離れても、ボールとラバーがコンタクトできればOK。そのあとにボールを伸ばす余裕や、弾く時間、ドライブに関してもナックル系と回転量多めのボールを選択する幅を持たせてくれるので、操作が楽です。

テナジーやディグニクスの場合、ラバーに合わせて打ち手側が変わる必要があるのですが、ハイブリッドMKは打ち手に合わせてラバーが性質を変えてくれる感じ。それでも行くボールの質はかなり近いので、プレーヤー側の負担が最小限で済むと思います。

数値上は柔らかく軽いラバー。この恩恵は十分に受けられますし、ただ軽くて柔らかいだけではなく、十分な芯の強さがあるため、強いボールを作り出すこともできますし、ブロックで強いボールを受け止めるだけの懐の深さがあります。軽量柔軟でありながら、カウンタープレーでもシートが負けることなくボールとコンタクトできるのもいい点です。

個人的には、ハイブリッドMKのような、少しマニュアルの感覚を残してくれるラバーは好きです。テナジーをはじめとして、V20・V22、ハモンドZ2、ティバーでもMX-Dなどは、ラバーが求めるボールの飛びが初めから設定されていて、それを体感できる商品たち。その感覚が万人に合うからいいラバーと言えるのでしょうが、なんだか自分が打っている感じがしないのが個人的には難点でした。

ハイブリッドMKに関しては、深く伸びるという基本コンセプトはあるものの、このコンセプトをプレーヤー側で消すことも可能なラバー。故に伸ばしたり沈めたり、切ったり切らなかったりという操作ができ、ボールコントロールがしやすいです。

エントリーラバーにはこうしたマニュアル操作感があるのですが、どうしても強いボールに対してはラバーが負けてしまい、一定レベル以上になると離れなければならなかった領域でもあります。今までありそうでなかったラバー、それがハイブリッドMKの立ち位置なのだと思います。

このラバーに、神のタッチと言われる松平健太選手の技術が加わると、無限の可能性を感じます。ご自身のテクニックがあるからこそ、自由に動かせるラバーを要望したのかもしれませんね。

軽いからこそエントリーから2枚目のラバーでもいいですし、もちろんトップ選手レベルのハードな使用にも適しています。

TIBHARラバーのラインナップは、比較的硬質でがっしりした打感(オート系)のエボリューションシリーズと、柔軟でしなやか(マニュアル系)なハイブリッド系に分かれていくのかもしれません。

今、ラバーに打たされている人は、ハイブリッドMKにすることで「打つ」感覚を取り戻せるかもしれません。

 

 

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