あまり特集されることのないラバー、アンチ。アンチのアンチ(敵対者)も多い中で、指導を受ける側の選手は、アンチラバーを薦められないことが多く、現在では見たことも触ったこともないという人も多いです。
ほぼ一般には絶滅危惧種ですが、だからこそ効くというもの事実。アンチラバーに興味があるという人が、まず手にしてほしいのがディアボリックスペシャルです。
とりあえずここから始めるのが無難
日本の卓球ショップで見かけるアンチラバーと言えば、バタフライのスーパアンチ。最近ではヤサカが新しくトリックアンチというラバーを出して、話題になりました。いずれもツルツルとした表面ではありますが、どことなくグリップ力が残っている感じ。その分扱いやすさもあるのですけどね。まぁ、アンチとはこんなもんでしょう、多少ゴム感は残るよねというのが、私の長年の印象でした。
そもそもアンチラバーって何?というかたは、アンチラバーはナゼ増えない? 増えないからこそ勝ちやすくなる、アンチラバーのメリットとはをご覧ください。
これを大きく変えたのがWRMさん。ドイツ製アンチラバーを多数取り揃え、弾性、滑り、スピード、反転性能など、個性の強いアンチラバーを多数そろえています。der-materialspezialist製だけでも、スピンパラサイト、ディアボリック、スキャンダル、ストークラフト、トランスフォーマー、リフレクションなど、どれを使えばいいのか不明な状態。
コーチング業の中で、生徒が普段から「アンチと戦う」機会が多いというので、1枚仕入れて使おうと思ったのですが、何がいいのか決まらない。ということで、千葉出張の帰りに、WRM高田馬場店へお邪魔し、チャパリータ氏へ何がいいのか直接聞くことにしました。
そこで、出てきたのがディアボリックスペシャル。まずはここからスタートするのがいいとチャパ氏。疑う余地はゼロなので、薦められるがままにディアボリックスペシャルを購入しました。
粒っぽく使える違和感の少ないアンチ
以前にトランスフォーマーやスキャンダルをWRMさんで試打したことがありますが、どれもアンチを知っていないと使うのが難しいラバーでした。その点ディアボリックスペシャルは、粒高チックに触ってもどうにかなるというもの。そこから、アンチならではの使い方を覚えていくにはベストな選択だったと思います。
ディアボリックスペシャルは1.0mmという厚さのみ。アンチは一般に薄いものから厚いものまであり、厚くなればなるほど反発力が下がっていくという独特の機能を持っています。
表面はプラスチックか?と思えるほどカチカチでツルツル
見た目は裏ソフトですが、触ると驚きます。多分木の板の方が、よほど摩擦が大きく引っかかってくれるはず。それほどにツルツルなのです。
スポンジは独特なイエロー。スポンジ自体もそこそこに硬いです。後述しますが、このスポンジがディアボリックスペシャル最大の特徴を引き出します。
スポンジ表面の拡大図です。多少の気泡はあり、ザラっとした感じはあります。アンチのスポンジだと、もっと目が細かく、軟質なものがイメージとしてあるのですが、ディアボリックスペシャルのスポンジは表ソフトの硬質なスポンジに近い感じです。
バタフライの接着シート(これ重要)で貼り付けてカットした後の重量は25g程度です。見た目の割にめちゃくちゃ軽いのもアンチラバーの特徴でしょう。
角度さえ出れば、何もかもが返球できる不思議
粒高やアンチ、変化表を使う選手が気にするのはレシーブの性能。回転に対していかに鈍感かつ、コントロール良く相手コートに狙いを定め、変化の多いボールを送り出せるのかというところが肝です。
私自身もアタック8を使うにあたって、レシーブ性能とミート性能を重視してきました。結果として、ぶ厚いスポンジはダメ、柔らかすぎてもダメ。なぜダメか、それはサービスの回転の影響を大きく受けてしまうから。そこでアタック8では中を使い、スポンジ硬度は48度を選んでいます。
つまり、回転の影響を受ける要因として、ラバー表面の摩擦抵抗はもちろんあるのですが、球離れという点も重要になるのです。ラケットとの組み合わせも関係しますが、できるだけボールを持たない(接触時間が短い)方が、回転の影響は受けにくい。当たった瞬間にボールを手放してくれるラバーが必要になります。
アンチラバーで多いのは、弾みが小さくなる(低弾性)であるがゆえに、ボールを長く持ってしまう。その分、ラケット操作に対してボールの受ける力が大きくなり、コントロールがしにくいという影響が出るのです。
この問題をディアボリックスペシャルは1.0mmかつ硬質なスポンジでクリアしています。
まずお断りを入れますが、このラバーは全然弾みません。低弾性も低弾性、ラバーの上にボールを落とせば良くて3バウンド、ピタッとラバーの上でボールが収まります。
この低弾性をカバーするために、勢いのないボールに対しては面を出してボールの後ろからラケットを当てます。当たる力を間違わなければ、とりあえずボールは相手コートに返るという代物です。
ゆえに台上のようなネットに近い距離では、回転を無視して少しだけボールを押し込むだけ(ネットを越える動力を与えるだけ)で、レシーブできてしまうのです。勢いのあるドライブも、面を出して当てるだけ。ネットを越えてさえしまえば急激に失速し、相手コートで2バウンドするブロックを出すことも可能です。
これが、めちゃくちゃ早い球離れから生まれる良さ。ほぼ木の板で打っているような感じだからこそ、コントロールしやすく、相手コートにボールを収めやすい。当てるだけ打法で、レシーブとブロックは済んでしまいます。
あとは、反対側の裏ソフトや表ソフトなどの攻撃ができるラバーで、チャンスを仕留めればOK。これがアンチの基本的な戦い方でしょう。
角度だけを出して置けばいいというのが非常にシンプル。その上、表面のツルツルさが、相手の回転をそのまま残し、ドライブは強烈な下回転に、横回転は不思議な変化球に変えて返球します。
引っ掛かりが無い分だけ、はじめのうちは苦労しますが、面を覚えれば万事OK。粒高のように、下回転には面を出して押す、上回転には上から下にスイングするという別のスイング運動が必要ないため、フォアの技術に意識を大きく持っていけるのは良いことですね。
これまでのアンチラバーと比べると、圧倒的に飛距離の感覚がつかみやすいラバー。これは、卓球をするうえで非常に重要なポイントです。ラバー自体が勝手に飛ばしてしまうと、自分の力+ラバーの反発力を計算してボールに触らなければならないのですが、ディアボリックスペシャルの場合は、ラバーの反発性能はほとんど考えずに済むのです。
アンチラバーとはなんたるかを知りたい、ぶ厚いアンチは使いにくいという方は、ディアボリックスペシャルをぜひお試しください。
また、このラバー、強打もできる優れもの。これについては、次回以降に触れていきます。これをフォアに使うと、まるでペン表ソフトのようなパチパチのミート卓球ができてしまうのです。
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