- 以前にもラケットの合板について書きましたが、今回は合板一枚一枚の厚さの意味について解説していきます。
前回の記事はこちらラケットの合板とラバーの関係
曲げに強い縦目と柔らかい横目のコントラスト
卓球ラケットほとんどが、天板に縦目の板を使っています。縦目の板は曲げに強く、しっかりとした剛性を持つので、ラケット合板には欠かせないものです。
通常合板では縦横を交互に積み上げていくので、5枚合板では上から、縦目、横目、縦目、横目、縦目という構成になります。太字にした縦目の板が中芯となります。
7枚合板では、縦目、横目、縦目、横目、縦目、横目、縦目となり、太字にした横目が中芯になります。
縦目の板は反りや曲げに強く、ラケットの最上部に使われるのは、硬さや弾みを出すためで、横目は、柔らかくしなやかな素材です。
通常よく見るラケットの合板構成は
こちらは剛力の均等合板
ウォルナッドウッドの中芯厚目の合板
タイニーダンサーです。均等合板
それぞれに意味があり、ラケットの個性のために設計されています。いま一度、不均等合板と均等合板の違いを理解しなければなりません。
同一素材と異種の合板構成
多くのラケットでは、ラケットの名前に木材の名称を使ってあっても、天板がその素材であって、中芯や添え木には異なる木材が使われます。
添え木や中芯にはバルサやリンバなどの比較的柔らかめの素材を使うことが多いでしょう。また、バルサやリンバなどの洋材には「軽量である」という特徴があり、ラケットを軽くする意味もあって、異種材を組み合わせた合板を使います。
例えば硬く重いウォルナッドの場合は天板にウォルナッドを使って中芯にはリンバやバルサを入れて軽量化と柔らかい打感を作ります。特に中芯が厚めになっているラケットの多くは、軽量化するためです。
7枚合板は、合板数が多く、重くなる、接着面が多くなり重くなる傾向がありますが、これを中芯によって調整しているのです。
中芯が厚いラケットは、ラケットの打感のほとんど全てを中芯が担うといっても過言ではなく、中芯の暑さや出来次第で、ラケットのキャラクターが大きく変わります。
中にはセットアップの妙で、7枚でも柔らかいラケットや、飛ばないラケットを作ることも可能です。
均等合板のメリット
剛力、タイニーダンサーに代表される均等合板の7枚を使うのラケットは、全ての木材が統一されています。
コレは木持っている個体の重さを使いたい、それで重くしたいというような意図があり、薄めの板厚でしっかりと重さを出すことができます。
ですので、オールウォルナッド、オールリンバの剛力やタイニーダンサーは板厚が6mm以下でも、100gを超える重さを実現できるのです。
次に打感です。同一素材とでも縦横の目によって打感は変わりますが、7枚合板は中芯が横目になり柔らかくなるため、硬めの素材を使っても、特殊素材のような硬さは出ません。ボールを捕まえる時間が長くなり、異質型にとってはボールタッチをする時間が長いので、安定感につながります。
中芯がもし厚くなると、薄い板厚全体を維持できず、厚いラケットになります。すると打感が強くなり、弾むラケットが簡単に出来上がるので、前陣攻守には向きません。粒やOXを使う場合に、球離れが早すぎるラケットでは、せっかくのラバーの性能が死んでしまいます。
ボールがラケットに当たった時に、一定の打感を常に維持するため、細かな気遣いをなくすために均等合板は多くの利点があります。
「軽くならない」「打感が一定で打ちやすい」「手の響きが一定で、粒の扱いが楽」という点です。均等合板はバック粒用ラケットとして作られることが多いですが、一枚ラバーでも安定した打感がを得るための最善の方法です。
7枚合板の中芯は横目になりますが、硬さ柔らかさのハーモニーが感じやすく、良い打球感を感じ取れます。
タイニーダンサーと剛力が均等合板とする意味
均等はクセがない、重量調整が重いほうでしやすい、スイートとそうではないところでの飛び方が大きく変わらない。安定志向のラケットになります。
ほとんどの7枚合板のラケットでは中芯の素材と厚さがラケットの出来を左右し、球持ちや球離れ、振り切れる重量なのかを調整するのが難しいですね。
均等ならば安定した品質供給と、打感の一定が最大の売りです。
最近では攻撃ラケットが中芯を厚くして攻撃の威力をましたりしますが、均等合板は打てば打った分だけ飛ぶ、止めれば球持ちよく意図的にドロップできるのが良い点です。
タイニーダンサーと剛力では、リンバとウォルナッドの特性を最大限に発揮ユーザーが体感できるように均等合板を採用しています。リンバ打感の調整は、均等合板が一番調律され綺麗です。
少なくなった均等合板のラケットを探して、守備でも攻撃でも楽に使えるラケットを選びましょう。いま一度均等合板に目を向けてはいかがでしょう?
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