裏ソフトラバーでナックルボール

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卓球

ナックルの出るラバーといえば、表ソフト系統のラバーを思い浮かべると思います。実際に、ラバー の表面に粒のある表ソフトや粒高ラバーはナックルの出やすいラバーですが、裏ソフトの中にもナックルの出やすいラバーがあります。今回は、裏ソフトラバーと回転の関係について、解説していきます。

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裏ソフト=回転のかかるラバーなのか

表ソフトがナックルボールになるのはなぜでしょうか?裏ソフトが回転がかかるのはなぜでしょうか?ボールが当たる面積が違うからだと思っている方、多いのではないですか。

裏ソフトの回転がかかる要因と表ソフトの回転のかかる要因は似ているようでちょっと違います。そのためナックルの出る理由も少し異なります。

そもそも、ラバーが回転をかけられる理由は「ゴムの引きつれ」が要因です。

ボールから黄色のラインで示された力が、ラバーに対してかかることで、ラバーが引っ張られて、点線で示した部分に歪みを作ります。この歪みが元に戻ろうとする時に、ボールに対して回転をかけているのです。裏ソフトラバーでは、この歪みを大きく作れば作るほど、回転がよくかかったボールを打つことができます。

面で歪みを作る裏ソフトに対して、粒ひとつひとつの点で歪みを作るのが表ソフトや粒高になります。そのため、粒の背の低い表ソフトでは、粒の角にボールを引っ掛けるように打つことで、粒ひとつで歪みを作ることができ、回転をかけられます。粒高では、直立した粒を同じ方向に倒すようにボールと接触させて、粒が直立の状態に戻りたいという復元力を使って回転をかけることができるのです。

どのラバーも、ゴムを歪ませて、力を貯め、その力をボールに伝えて回転をかけるという方法は同じですが、歪ませ方が異なるので、裏ソフトと同じ回転の掛け方では、表ソフトや粒高では回転をかけにくくなるということになります。表ソフト系統のボールに安定感を出す打ち方も、このゴムの歪ませ方がと関係があるので、慣れてくると、表ソフトで弧線を作り、ドライブのような安定したボールを打つことも可能になります。

裏ソフトでナックルを多く出すには

ラバーと回転を生み出す関係を理解していただけたら、裏ソフトとナックルの関係を紐解くのは簡単です。

つまり、裏ソフトの回転の根本である、ゴムの引きつれが起きにくいラバーを探せばいいということになります。

ラバーが引きつれやすくなる要因は「トップシートが柔らかい」「スポンジが厚い」「スポンジが柔らかい」の3つになります。

この3要素を真逆にすることで、裏ソフトラバーでもナックルボールが出やすくなるのです。

つまり、トップシートが硬く、スポンジが薄くて硬い、以前にレビューしたラバーで紹介すると、アポロ5 超極薄がピッタリ当てはまります。

ミート打法でナックルを量産するには

筆者もそうですが、前陣でプレーをする際に、バックハンドドライブよりもミート系の技術を多く使う選手がいます。この時、ミート打法で回転を残し安定させたいのか、ナックルをつかって相手のミスを誘いたいのかによって、選ぶラバーも変わってきます。

もちろん回転を残して、安定させたい人には、全体的に柔らかめのラバーの方が、ボールをを掴みやすく、当てた途端にラバーが引っ張られるので、意識せず、安定した回転をかけながらボールを打つことができます。

ナックルを多く出したい場合は考え方が二つあり、自分のミートした瞬間の当たりの強さによって、スポンジの厚さを考えなければなりません。

ミートの力がそこまで強くなければ、スポンジを薄くして、よりナックルが出やすい状態にしてあげるといいでしょう。粒高ラバーのように、ブロックで振り回す際には薄いスポンジで、ボールの勢いをラバーが受け止めきれない状況を作ってあげることで、ナックルの多い球質になっていきます。

問題はバック表ソフトのように、パチンと強く当てるタイプです。筆者はこのタイプで、ラバー選びにはかなり苦労しました。

ミート力の強いタイプは薄すぎるスポンジのラバーを使うと、ラケットがボールを受け止め切って跳ね返すための力貯める容量が極端に低く、「この力は受け止めきれません」とラケットが根をあげてしまい、ボールに力が伝わりきらずに破綻します。ボールを前に飛ばす力が貯まりきらないので、ボールが死んでしまい、ネット直撃です。つまりラケットとボールがケンカしている状態になります。

この事態を避けるために、スポンジの厚さはある程度確保する必要があります。トップシートが引きつれを起こせないくらい硬いラバーで、スポンジの厚さを増やしてあげることで、スポンジがボールの勢いを吸収して跳ね返します。強いミートでボールを飛ばし切るためには、受け止めるスポンジが必要です。

布団とホテルのベッドを思い浮かべてください。あなたならどちらに飛び込みますか?硬い地面があり、その上に薄い布団を敷いてあるだけでは、飛び込んだあなたは痛い思いをしますね。この時の地面がラケット、敷布団がスポンジ、掛け布団がトップシートで、あなたはボールです。布団に飛び込んだあなたは、跳ね返ることなく、怪我をします。薄いスポンジのラバーに当たったボールは、勢いが強ければ、あなたと同じように怪我するわけです。

対してホテルのベッドに飛び込んだあなたは、厚みとスプリングに勢いを支えられて、反発力を受けてしっかり跳ね返ります。この時は怪我をすることなく、痛くもなく、自分が飛び込んだ力を、ベッドが受け止めて跳ね返してくれるので、飛びこんだ位置に体を戻してくれます。厚めのスポンジに当たったボールは、痛い思いをすることなく、相手コートに返っていくのです。

ミート打ちで、ナックルを出したい場合は、自分の打ち方の当たりの強さと相談します。まずはトップシートが簡単に引きつれないラバーを探して、スポンジの厚さを厚いところから薄くしていきます。ボールが死んでしまう手前のところで、スポンジを薄くしていく作業を止めれば、適切な厚さのスポンジを選ぶことができます。

筆者が現在使用中のパラディンブルーは、2.2mmの厚さで、硬めのスポンジに、中国ラバーとしては柔らかめのトップシートです。これでパチンと打つと、綺麗にナックルです。ここにはラケットの柔らかさや板厚も関わってきますので、パラディンブルーを使えば、ナックルが多くなるとも言えません。

何度も言うように、打ち方によって、ボールとラケットが受ける力が異なり、引きつれを起こしにくく、勢いを受け止めきれるスポンジ厚が必要となります。裏ソフトラバーの特性上、ゴムのひきつれは生まれやすいので、ボールが飛び跳ねていく力だけを、受け止めて離すためのラバーを選んでいきましょう。

目安としては粘着ラバーはトップシートが硬めに作ってあり、スポンジも硬いので、出来るだけ厚めのラバー、微粘着では少し薄めのスポンジに、粘着なしの高弾性ラバーでは、トップシートがボールの勢いを受け止めてくれるので、スポンジを薄めにすることで、受ける止められる力のアッパーレベルを調整しやすく、ナックルの出やすい環境になるでしょう。


コメント

  1. 下海 より:

    早速記事にして頂きありがとうございます。
    シートはスピンテンション系や弧線が高いと言われるラバー以外で考えればよさそうですね。後はスポンジの厚さを地道に試していくしかなさそうですね。

    • 赤井 福 より:

      トップシートが敏感なラバーは、ナックルは出にくいラバーです。
      テナジー、ラクザは回転が強いので難しいと思いますが、V15エキストラは少しナックル気味になります。
      テナジーでも、厚さを中にしてパチンと打つと、ナックルは出ますが。
      厚めのラバーでは、硬めのもの限定なりますが、1.8㎜以下のスポンジを選べれば、スピン系テンションでも、ナックルの生まれやすさは高くなっていくでしょう。

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