ヤサカブランドの3枚を徹底比較 時代によってラバーはどう変わった? 【卓球用具レビュー】

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ラバー

世界初の裏ソフト「オリジナル」、そして世界を席巻した「マークV」、時代ごとに様々なラバーを発売し、多くのユーザーに支持されるヤサカブランド。私も、学生時代はヤサカブランドだった「スティガ・クリッパーウッド」を使い、マークVユーザーでした。

時代ごとに、変遷してきたヤサカラバーのトップブランドを、プラボール40㎜、そしてノングルーの今打ち比べたらどうなるのでしょうか。

今回は、マークV(厚)、Vステージ(厚)、ラクザX(厚)の3枚を比較し、どのような違いが生まれているのか、考えていきたいと思います。

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時代を感じるパッケージ

まずはこちら、卓球をしていて見たことないっていう人は、もういないのではないのでしょうか。

今も昔も売れ続ける、マークV

白っぽいクリーム色のスポンジ、適度な光沢感のトップシート。懐かしさと安定感が、入り混じります。

このマークVの系譜を受け継ぎながら、ハイスペックにしたラバーがこちら
VSTAGE ブイステージですね。今では普通ですが、当時としては超高級ラバーの6000円という価格設定。マークVを使っているユーザーの中で、このVSTAGEを使っている選手は、ちょっと憧れの的でした。

そして、グルー禁止、プラボールとなって生まれたのが、ラクザシリーズ
ヤサカロゴも一新され、マークVとVSTAGEとは大きく変わりました。

これらの3つのラバーを現代の40㎜プラボールで試していきたいと思います。

全体硬度はどのくらい違うのか

公式に発表されている、ラバーのスポンジ硬度は以下の通りです。

マークV 40~45度
VSTAGE 43度
ラクザX 45~50度

マークVとラクザXには硬度の幅がありますが、最も低い値で比べるとマークV<VSTAGE<ラクザXという硬度が成り立ちます。

実際に、ボールに影響を与えるのはスポンジ硬度だけではなく、トップシートも含めたラバー全体の硬度です。こちらを計測するため、筆者の手元にある硬度計を使用します。

硬度計はHCという単位で、硬さを数値化するものです。数値が大きければ大きいほど、そのモノが硬いことを示します。

硬度計を使用して計測した、ラバー全体の硬度は次の通りです。

マークV 45.0HC
VSTAGE 52.5HC
ラクザX 49.0HC

ここで、先ほどのスポンジ硬度と順番が前後しました。マークVが最も低い数値なのは変わりませんが、次にラクザX、最も硬いものがVSTAGEとなります。

ちなみに、
マークVの全体硬度45.0HCと同程度のものは、VICTASのV11エキストラ(46HC)
ラクザXの全体硬度49.0HCと同程度のものは、アンドロのラザンターR48(49HC)
ⅤSTAGEの全体硬度52.5HCと同程度のものは、ニッタクのファスタークG1(52.5HC)
となっています。

ボールに与える影響は、スポンジ硬度だけでは測れません。ラバー全体として、どのくらいの硬さになるのかを考えていくと、同じような打感が見つかっていきます。テンションや非テンションの差は出てきますが、単純にスポンジとゴムという関係性を考えていくと、これらのラバーが似た打感を得られるものになるでしょう。飛び方が同じというわけではないので、注意してください。

実際に打ってみた感想は

 ラケットはスティガのクリッパーウッド WRBを使いました。ヤサカラバーの反対面には、TSPのスペクトル厚を貼っています。

使用したラバーは全て厚です。

まずはマークVから、初めに感じるのは「弾まない」感じですが、それは逆に入れた力の分だけ飛んでいく感覚でもあります。強く当てれば速くなり、ドロップさせればゆっくり飛んでいく、非常に素直なラバーです。

回転量は多いとは思いませんが、ラバー相応にしっかりかかります。これも、自分で回転量を調整できる良さがありますね。弧線を作ってループ、ナックル系の低いドライブも思いのままです。ただ、テンション系ラバーと比べると、スピードは劣ります。

回転量が大きくないという点は、回転に敏感な裏ソフトラバーの中でも、鈍感な部類になるラバーということにもなります。回転系表ソフトよりは回転をくらいますが、弾みの小さいラバーということも相まってレシーブ技術はとてもやりやすいですね。

また、高校生相手にブロックをしてみましたが、テンション系の弾みのいいブロックに慣れた選手は、マークVの飛んでこないブロックに、四苦八苦していました。テンションラバー全盛期だからこそ、例えば守備的な技術の多いバック面には使ってもいいラバーなんだと思います。バックではドライブが難しい、基本的にブロックとツッツキで、フォアで攻めるみたいな形には、バックにマークVを使うことで、裏ソフトの中でも変化がついていやらしいボールになります。

続いて、ラクザXです。こちらは最新のテンション技術が入っているため、しっかりと弾み、ボールを掴みます。ただ、回転に関しての鈍感さは、マークVに似た感じを受けました。

切れた下回転も持ち上げやすく、それが強い回転のドライブでなくても持ち上がるというのは、ヤサカの系統なんでしょうか。ノンスリップシートと言われるトップシートは、たしかにボールは滑りにくくなっていますが、球持ちは短く感じました。そのため、弾く系の技術が非常にやりやすく感じるラバーです。

スマッシュ、角度打ちもやりやすく、フォアバック共に弾くのが気持ちいいです。カキンという音も気持ちよさを増幅させます。

ラケット面を被せても、立ててもいいボールがしっかり飛んでいく、オールマイティラバーです。硬さもスポンジ硬度ほど感じず、打感としてはV11エキストラのトップシートを、より厚く強くした感じです。

最後にVSTAGEですが、こちらは今回の3枚の中で、打感がもっとも硬く感じました。トップシートが非常に厚く感じ、スポンジに到達する前に、シート単体でボールをなんとか制御しようとする意図を感じます。スポンジまで食い込むと、弾みが格段に上がり、強いボールが打てるラバーです。

トップシートの敏感さは3枚の中でもっとも高く、回転性能も高いです。

打感としては、マークVの皮付きに近いのかなと思いますが、マークVシリーズよりは弾みが大きくなります。マークV HPSよりも弾むラバーです。

適度な弾みで、様々な技術の変化を生ませるラバーなので、回転量のメリハリ、ボールの緩急などをうまく使いたいプレーヤーにはいいですね。セミオートマチックラバーという感じです。

6000円という価格はネックになり、同価格帯のラバーと比べたら、弾みは大きく劣ります。しかし、できる技術の幅は、大きく広がるのではないでしょうか。速いボールを打つだけが卓球ではないので。

イメージとしては、粘着テンションラバーの粘着が取れた後、少し扱いやすくなった粘着ラバーみたいな感じです。前陣攻守の裏ソフト面や、攻撃を絡ませたいカットマンなど、需要はありそうなラバーです。

個人的には好きなラバーです。

3枚のラバーを打ち比べてきました。時代のニーズや、補助用具の変化によりラバーの形も大きく変わったことがわかります。

中級者層から上では、スピード、回転量ともに、マークVや VSTAGEでは物足りなさを感じますが、回転量の少なさ、遅さという面は、時にメリットともなるでしょう。使い手は選びますが、この2枚はまだまだ使えるラバー達です。

王道の回転量やスピードを追求する方にはラクザX、ちょっと変化をつけて揺さぶりたいという方にはVSTAGEもいいでしょう。

VSTAGE、マークVともに、スピードグルー時代とは別物のラバーになりましたが、「勝手にラバーが働かない」というのは、ビギナーだけでなく、中級者層でも役に立つものです。技術の習得にもいいですし、テナジー慣れをしているプレーヤーには、変化する不思議なボールを打ち込むチャンスにもなります。

時代遅れなラバーと思うことなかれ、プラボール、ノングルーでも、しっかり働く、良いラバー達でした。



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