正直な飛び方をするラージボールは、感覚を鍛えるのに有効な方法 【卓球オプティマイザー】

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ラージボール卓球

硬式用ラケットを、両面表ソフトにした赤井福です。一昔前だと、ジョニーファンが有名どころでしたが、現在ではほとんど見なくなった形ですね。フォア表ソフトとして頑張ってきましたが、単純にフォアもバックも同じようにしてしまえばいいかと思い、両面に表ソフトを使用したところ、調子よく、気持ちよく戦えるので、これが最終形態なのかなと思っています。(ラバーは、フォアバックともにノーマルのスペクトルを使用)

両面表ソフトと言えば、ラージボールですね。表ソフトラバーしか使用を許されていないラージボールの世界。両面表ソフトにし、せっかくなので、これまでほぼ未体験のラージボールの世界に飛び込んでみました。

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大きいのに軽いラージボール

簡単にラージボールと硬式の違いについて説明していきます。

硬式の卓球ボールは、直径40㎜、重さ2.7gのボールを使い、ネットの高さは15.25㎝です。
ラージのボールでは、直径44㎜、重さ2.2g~2.4gのボール、ネットの高さは17.25㎝です。

使用できるラバーは、公式では裏ソフト、表ソフト、粒高、一枚ラバーなど多岐にわたりますが、ラージボールでは、言わずもがな表ソフト一択となります。

ラージボール専用の表ソフトも発売されていますが、必ずしも専用ラバーを使わなければならないわけではなく、硬式用の表ソフトも使用可能です。ただし、表ソフトというだけあって、スポンジ入りのラバーのみ使用できます。表一枚ラバーは使用不可となるので注意しましょう。

 

ここで考えるのが、ラージボールは硬式のボールと比べて、大きいのに軽いことです。一般的にボールの大きさが大きくなれば、その質量が増え、重くなります。

現在の40㎜ボールが使われる前、卓球では38㎜ボールが使われていました。この38㎜ボールと比べて40㎜ボールは重くなりました。これが一般的なボールの大きさと質量の関係です。

しかし、ラージボールは直径が大きくなっているのに、質量は軽くなっています。

つまり

「ボールを形成するプラスチックの量が少ない=ボールが硬式より薄い膜で形成されている」

ということになるわけですね。これにより、硬い用具でボールを打つと、ボールが変形(潰れた)した状態になり、より飛ばなくなるわけです。(変形することでパワーロスが生じるため)

そのため、ラージボール専用ラバーは、スポンジ硬度が20度前後の柔らかいものが使われ、表ソフトの粒の形状も、細長い円柱形を使うことにより、ボールの変形を最小限に抑え、回転を最大限かけられるように工夫がされています。

 

表ソフトユーザーのミート感覚を養うラージボール

回転をかけることが難しいラージボールですが、ミート打ちはしやすいです。裏ソフトでギュンギュンと回転をかけて戦う選手や、表ソフトでも回転を意識して戦う人にはラージボールの打感は違和感でしかありません。多くの硬式をやってきて、ラージ初体験の選手は、ネットミス続出になります。これは、回転をかけて弧線を作るという打ち方をしており、ラージボールでは、その回転が減少してしまうため弧線が作りにくい、また、回転をかけてもボールの空気抵抗が大きく失速が早くなるため、ネットを超える前にボールがお辞儀して落ちてしまうためです。

逆に、私のような表ソフトユーザーで、ミート系の技術を多く使用する選手は、ラージボールを初見で打っても、ほとんど違和感なく打つことができます。

ラージボールを打つ際には、打球面を台と垂直にし、ボールの後ろを正確にとらえる必要があります。しっかりとボールの後ろを捉えて、ボールとラバーのタッチを短く離してあげることで、ラージボールは、相手コートに入ってくれます。ラージボール専用ラバーでは、ある程度の回転をかけることができますが、スポンジ硬度が40度以上になる硬式用のラバーでは、ボールを放す技術(タッチ)が必要となるのです。

このタッチは、硬式のボールをミート打ちする際にも使う、表ソフトに取って必須の技術と言っても良いでしょう。

感覚としては

火の玉が飛んできて、それを打ち返した瞬間に「熱っ!!」と手放す

このような感じです。わざわざ高温のものを、長く持ってはいませんよね。やけどするので、素早く手放すと思います。表ソフトのミート打ちも、長くボールに触れるわけではなく、ボールを素早く手放す感覚を身につけることで安定します。

もし、表ソフトでミート打ちをする感覚がつかめない方は、ラージボールで感覚を養う練習をするといいでしょう。硬式用の硬いラバーでも、適切にボールを放すことができれば、ラージボールでも問題なく打つことができます。

動画では、赤井福が、ラージボールを硬式用のラケットとラバーで打っています。
(使用用具はタイニーダンサー01、ラバーは両面スペクトルの厚です)

ミートができない表ソフト選手や、裏ソフトユーザーでもミート打ちを使っていきたいといった選手は、ラージボールを打ってみましょう。自分のミート技術に何が足りないのかを知ることができるはずです。

 

正確なスイングの方向を身につけるラージボールの使い方

飛びにくい、空気抵抗の大きいラージボールは、ラケットの面やスイング方向に対して敏感に反応します。

硬式では、回転をかけることで、真っ直ぐボールを飛ばすこともできますし、飛距離を稼ぐこともできますが、ラージボールでは、小手先の細工ができないので、振った方向に対して、正確にボールが飛んでいきます。

これは、ボールを待てずに引っ張り気味に打ってしまう選手や、ラケットを後ろに引きすぎて振り遅れてしまう選手の矯正にも有効です。

大人から始めた選手や、ある程度体が作られてから始めている中学スタートの選手に多いのが、ラケットを引きすぎて待つ傾向です。ラケットの引きすぎは、打球テンポがずれるだけでなく、上手く体に蓄えられた力を出せないスイングになってしまったり、ボールを飛ばしすぎる原因にもなります。

飛ばさないスポーツ卓球

中学生スタートと小学校の低学年からスタートしているこの差は、ボールタッチが大きく関係します。特に、ボールを飛ばさないようにする感覚は、幼少期から卓球を行っている子に共通して身に付いているものです。

卓球は、ボールを飛ばさないスポーツです。この点が同じラケット競技のテニスと大きく違います。卓球は、テニスと比べた際に、ネットの高さが高いスポーツなのです。

卓球台の大きさは、長さ2,740㎜、幅1,525㎜、ネットの高さは152.5㎜です。
テニスコートの大きさは、長さ23.77m、幅10.97m、ネットの高さは約1m(最大1.07m~最小0.914m)です。

卓球台の長さに対してネットの高さは、約18:1、つまり台の長さの1/18がネットの高さです。

対してテニスコートの長さに対してのネットの高さは、約24:1、つまりコートの長さの1/24がネットの高さです。

 

このことから、卓球台をテニスコートの大きさまで拡大した場合、ネットの高さは大体1.3mとなります。30~40㎝テニスのネットが高くなったら、テニスのラリーはもっと山なりになるでしょう。

 

また、使われている用具の重さも変わってきます。
卓球は2.7gのボールを約170g程度のラケットで打ちます。
テニスの場合は、60gのボールを300g程度のラケットで打ちます。

卓球はボールに対してラケット重量が約62.96倍
テニスはボールに対してラケット重量が約5倍です。

空気抵抗やボールの材質などを無視した場合ですが、卓球の場合は、これだけ軽いボールを、62倍の重量があるラケットで打っているので、その分ボールが飛びやすい状態にあるということになります。

 

総括すると、卓球はテニスと比べて、ネットが高く設定され、相手コートに返球するための用具は、より飛びやすいものを使っている。そのため、弧線や回転が重要になるわけですが、用具を使いスポーツをする側の人間の心得として、テニスよりも「自分の力で飛ばさなくてもいい」、そして相手コートに返球しにくいスポーツだということを理解しておきましょう。

飛ばさなくていいのだから、大きく引いたり、体を回したりは最小限に

ちょっと脱線しましたが、以上のことから卓球は「飛ばさない感覚」をいかに持ち合わせるかが上達する上で重要になります。小さいころからラケットを握っている選手は、筋力が備わっていない子供のころに、ボールを飛ばさないで返球する能力を身につけているため、卓球の上達スピードが早く、ボールタッチも良くなる傾向にあります。

中学生以降に卓球をすると、体がある程度出来上がってしまっているので、力任せに卓球をするようになり、大振りやオーバーミスが増えたり、腕力で卓球をしようとしてしまうわけです。

こういった腕力卓球を強制する上でも、ラージボールは役に立ちます。ボールが変形しやすいラージボールでは、一定以上の力を加えると、ボールは飛ぶ力を変形する力に変えてしまい、ボールが前に飛ばなくなります。腕力卓球をしていると、ラージボールを強く打った際に、ボールが走らず、永遠に相手をノータッチで抜くことはなくなるでしょう。さらに、ボールの変形によりネットミスが増えます。

ボールに対して効率の良い力の伝え方を意識することは、卓球を上達させる方法の一つです。ラージボールを使うことで、腕力卓球から脱出するきっかけを作れるのではないかと考えます。

また、ラケットの面作りにも効果を発揮するでしょう。真っ直ぐボールを飛ばすためにはどういった面出す必要があるのか、自分は巻き込む(カーブする)癖があるのか、開く(シュートする)癖があるのかを、ラージボールで知ることもできるでしょう。

まとめ

レジャースポーツとしても楽しまれているラージボールですが、硬式ボールを打つ際にも必要な感覚やテクニック、そして体の使い方を勉強できる、格好のトレーニングにもなります。特に中学スタートの選手や、大人になってから卓球を始めて、壁に当たっている選手、表ソフトのミート打ちを上手くできない選手には、上手に活用してほしい用具になります。

「硬式しかしないから、ラージボールは打っても意味ない」というのは、少しもったいない考え方かもしれません。考え方を少し変えると、硬式にも、きっと生きるトレーニング方法がたくさんあるはずです。




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