ラージボールラバー選び ニッタク「颯」と「ロイヤルラージ」徹底比較 【卓球ラバーレビュー】

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ラバー

硬式よりも大きなボールなのに、硬式よりも軽いボールのラージボール。大きいのに軽いという特殊性があるので、競技ラージボールをする際には、ラージボール専用ラバーを選ぶべきです。硬式ラバーでも打てないことは無いですが、打ちにくさMAXです。

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そこで、今回は、ラージボールラバーを比較レビューしていきます。今回のレビューラバーはニッタクの「颯」、そしてラージボールラバーとして高い人気を誇る「ロイヤルラージ」です。

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なぜ、颯とロイヤルラージなのか

今回、私自身が本格的にラージボール競技を始めようとした際に、「できるだけ硬式に近い打感」「飛び方」の2点を追求しました。

硬式ではフォア表ソフト(スペクトル)とバック裏ソフト(マークV皮付き)を使う私、フォアにはスピード感と直線的な弾道、バックには弾きやすさと回転のかけやすさ(回転量は求めません)を重視します。弧線を作るよりも、コントロールよく真っ直ぐ飛び出してくれるほうが、自分の感覚としては好きなので、これに近いラバーを探しました。

これまでラージラバーで使ったことがあるは、JOOLA・アレグロ、ヤサカ・エクステンドLB、VICTAS・VLB301、ニッタク・モリスト44の4枚です。オートマチックに回転のかかるアレグロ、スピードと回転量のバランスの良いVLB301は、今回ラージラバーを選定する際の第一候補でしたが、硬式に近い感覚ではなかったので、新しいものを探すことにしました。

フォア面で候補となったのが、TSP・ファイナルスピードスポンジとニッタク・颯です。どちらもラージラバーの中ではスピード自慢の一枚。ですが、ラバー選定中にTSPブランドの廃止が発表され、ファイナルシリーズの廃盤も決定します。廃盤になるラバーを使ってもと思い、フォアのラバーは颯で決定しました。

問題はバック側です。サービスの回転量をある程度確保して、飛びすぎず、コントロールできるラバー、なおかつ回転の影響を受けにくい方が好みです。回転がかけやすいというラバーはたくさん見てきましたが、それは同時に回転の影響も受けやすくなる、そしてテンション系が多いので飛びすぎるという結論に。そこで目に入ったのがロイヤルラージです。

全日本ラージボール選手権初代チャンピオンの卓球YouTuber「わったさん」も使う一枚でした。筆者も本名は「わったさん」と同じ名前だし、これでいいかなと選定。使用されているアクティブチャージ(AC)も剛力快速で体感済みですし、そこまで飛びすぎるイメージもなかったので、とりあえず使ってみようとなりました。

スピードモンスター「颯」

まずは、フォア面に使用している颯からです。

厚さMAX、色は赤です。クリッパーウッドWRBに貼り付けし、カットサイズは158mm×150mm、カット後のラバー重量は33.1gでした。

硬度計でラバー全体の硬度(トップシートからスポンジまで全体)を計ったところ、31.5HCでした。WRMで販売している超軟質粒高ラバーのスーパーKIMが31HCですので、どれだけ柔らかいかがわかりますね。

トップシートは光沢感の少ない赤で、粒配列は縦目です。

粒形状は台形+円柱となり、スペクトルと同じような形になります。ラージボールラバー特有の、粒のぐにゃぐにゃ感が少なく、粒直径も大きめなのが、硬式の表ソフトユーザーとしてはGOODポイントです。

スポンジは深みのあるブルーで、硬度は22.5度(ニッタク)

柔らかいスポンジの中では珍しく、気泡は少なめです。

オールラウンドに使えるロイヤルラージ

バック面に使用しているロイヤルラージです。

厚さMAX、色は黒です。クリッパーウッドWRBに貼り付けし、カットサイズは158mm×150mm、カット後のラバー重量は27gでした。

硬度計でラバー全体の硬度(トップシートからスポンジまで全体)を計ったところ、23.0HCでした。颯と比べても、かなり柔らかく作られているのが分かります。回転系のラージボールラバーは概ね、このくらいのラバー全体硬度となるようです。

トップシートは光沢感のある黒で、粒配列は縦目です。

粒形状は円柱形に近いです。粒はコシがあるものの、倒れやすく、颯と比べると小粒で高めです。

スポンジはピンク色、気泡は標準的な量で、スポンジ硬度は20度です。かなり柔らかくて、貼り付けの際にラバーがフニャンと曲がってしまい苦労しました。

颯とロイヤルラージを比較試打

では、それぞれを張り付けて試打にしましょう。使用するラケットはクリッパーウッドWRB(ヤサカブランドの古いもの)です。ラケット総重量は150.4gとなりました。(ラケット単体重量は90.3g)

「颯」フォア面

40㎜ボールをスペクトルで打った時に似たような、ボールの飛びだし方をしてくれます。弧線を描く感じではないですが、直線的にかつボールの飛距離が長く飛んでいくのがわかります。スポンジに少し食い込み、ボールの離しは早め、スピード性能は文句なしです。

特に、打球直後の初速も速いのですが、相手コートに届くまでしっかりとスピードがのっており、失速感が少ないのが特徴的でした。普段の硬式で表ソフトを使っている感覚に近く、表ソフトユーザーにとっては違和感が少ないのではないでしょうか。対して、裏ソフトのように回転をかけてしまうと、弧線の低さが出てしまい、ネットミスが多くなっていきます。フラットに打球点の高いところで叩ける選手が使っていくと良いでしょう。

「颯」バック面

バック面でも使ってみました。両面表ソフトもやっていた筆者、バックハンドの打ち方は裏ソフトを使うものの弾き中心で、表ソフトユーザーのような打ち方をします。

当てれば勝手に飛んでくれるというのが第一印象、バック表でテンション系のラバーを使った時に似ています。モリストやブースターEVのような感じで、ミートの角度を出してあげれば、あとは何もせずとも返球できる感じです。ブロックはやりやすく、バック強打も良いのですが、ミートスピードをしっかりとのせてあげないと、ボールが死んでしまい、相手が取りやすい棒球が飛んでいきます。

両ハンドフルスイングできるユーザーで、かつスピードドライブをバックハンドでも居合い抜きのように打てる方ならいいのですが、コンパクトなスイングで、ピッチを早く攻めようとすると、安定感が欲しくなります。本当に弾むラバーだということが分かりましたが、中途半端なスイングスピードで使うと、相手にとって打ちやすいボールにしかなりません。

フォア強打ではナックル系のボールも出ていましたが、バックではそれも少なくなりました。スイングスピードと正確なミートができる、表ソフト速攻向きのラバーですね。硬式で裏ソフトユーザーは、後述するロイヤルラージの方が使いやすいともいます。

颯は、硬式で表ソフト(スピード系)を使い、スマッシュを中心に攻めていくスタイルにピッタリのラージラバーです。

「ロイヤルラージ」フォア面

このラバーは、とにかく万能です。抜け目なく様々な技術ができるように作られています。安定感と十分な回転量をもっており、ラージボールをフラットに打っても、しっかりと弧線が出るので、安心してスイングすることができるでしょう。

柔らかいトップシートはしっかりとボールを包み込み、ボールの変形を最小限にして回転を与えます。ループ系のドライブを、打点を落としたところからかけても、しっかりとかかり、ストンと相手コートに落ちてく、コントロール系裏ソフトのようなラバーです。

かといって、弾みが弱すぎるわけでもなく、必要十分なスピードは確保されています。擦り打ちにも弾き打ちにも対応できる、オールマイティラバーと言っていいでしょう。颯ほどスピードは出ません、アレグロほど回転はかかりませんが、すべてが無難にできるこのラバーは、フォアでもバックでも、レディースやジュニア層からトップ選手まで、年齢や性別を関係なく、ラージボールを打ちやすくしてくれています。

「ロイヤルラージ」バック面

安定したバックハンドを打たせてくれるロイヤルラージ、引っ掛かりも感じられるラバーです。ブロックから、擦るドライブ、弾くドライブ、ミートまでやりやすく、弾みすぎないのがいいですね。ちょっと振りすぎたかなと思っても、ギリギリコート上にボールを入れてくれますし、山なりに飛んでいくボールは、後陣に下がって打っても安心できます。

前陣でのブロックから、中陣での凌ぎ、ロビングまで幅広くこなすことのできるラバーです。特段これが凄いという技術はないものの、全般的に素直で使いやすいラバーに仕上がっています。

個人的には、前陣でのプレー、特に台上処理の緩急がつけやすく、フリックや回転をかけたチキータがやりやすく、ツッツキも切った切らないの変化がつけやすいです。

サービスも回転変化がつけやすいので、フォアサーブを出す際には、硬式同様に反転してロイヤルラージでサービスを出しています。

大きなボールで軽いので、飛ばそう飛ばそうとするラバーが多い中で、弾みの良さを大きくせずに、プレーヤーがコントロールしやすいところに収めているのがポイントでしょう。用具に頼らず、自分で緩急を付けられる、自在性の高いラバーとなっています。

まとめ

ニッタクのラージボールラバー2枚を比較レビューしました。颯はTHE表ソフト、ロイヤルラージはライトテンション系裏ソフトのような表ソフトというように、大きくキャラクターの違いを感じることができました。硬さの違いや、粒形状の違いを硬式と同様にしっかり感じられるラージボールラバーは、

「全て表ソフトだから大差ないよね」

なんて思うことなかれ、しっかり吟味して、自分に合ったラバーを選びましょう。

ポイントは、ラージボールとして打ちやすいものを選ぶか、硬式とラージボールの感覚を近いものを選ぶのかのどちらかです。私は後者を選びました。みなさんのラージラバー選びに役立てば幸いです。




 

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