さて、前回「精子ゼロ」を宣告された私。無精子症といっても症状は様々です。
無精子症と言えど精子がゼロが確定ではない
無精子症を大きく分けると2つあります
①精子は作られているが何らかの理由で体外に出てこない
②もともと精子を作る能力が無く、体内にも精子が全く無い
この2つです。
これを判断するのに必要なのが遺伝子検査です。AZF遺伝子という遺伝子の中にa,b,cそれぞれの領域があります。この遺伝子があるのかないのかがとても重要です。aとbが欠損している場合には②のパターンとなり、今後の不妊治療はできません。残念ながら妊娠を諦めるほかありません。cのみの欠損の場合はわずかですが希望が残ります。
検査して、AZF遺伝子のabcそれぞれの領域に問題がないこともあります。私はこのパターンでした。遺伝子の問題がないということは、すなわち①の体の外に精子が出てこない、でも精巣内には精子あるんじゃないのかな?という状態です。ここも絶対精子があるということではないのでご注意ください。
男性不妊外来は泌尿器科へ
ここからの治療は泌尿器科扱いです。当時通っていた病院には週に1回、泌尿器科の男性不妊専門医師が外部から来ており、その日に合わせて受診します。多くの女性不妊外来(アートクリニック)には、男性不妊専門の医師が常駐することは少ないと思います。
ここからは男性にとって未知の領域になります。医師の前で自分の急所を晒し、触診され、エコー検査を行われると思います。1回目の診察のときは、さすがに面食らいました。
ただでさえ、無精子症と言われ心はズタズタのところに、触診をされる(大体の医師は男性です)男性に触診されるというのは、心が折れるどころの話でありません。屈辱を通り越します。
男性のパートナーが無精子症と判明した女性のみなさん、表には出しませんが、パートナーの心はとんでもなく荒んでいます。もう立ち上がれないというところまで落ちるでしょう。でも、妊娠する、子供を育てるというのは二人の力が必要です。ここは、しっかりとパートナーを支えてあげてください。
ちょっと脱線しましたが、触診では、睾丸の大きさのチェックをします。数珠のような用具を用いて、しっかりとした睾丸であるかどうかを判断します。
エコー検査では、精索静脈瘤の有無の検査です。
精索静脈瘤というのは、精巣に通る血管の弁がなくなっているということです。
精巣と腎臓、そして心臓がつながっており、通常は静脈を通る血液は逆流しないように弁がついています。したがって新鮮な血液が臓器に流れ、汚れた血液は弁による逆流を防ぎ、腎臓で綺麗にされ心臓に戻ります。
この弁がないと、汚れたままの血液が精巣に逆流するのと、浄化装置である腎臓から悪い血液が逆流し、精子の生成に大きな影響を与えます。
先に上げた遺伝子の問題がないにしろ、精索静脈瘤によって精巣内の環境が悪く精子が作られていない可能性もありますので、精子を取り出す手術をする前に、この静脈瘤をどうにかしなければなりません。
精索静脈瘤への対処法
私は左右の精巣に対し、両方共、精索静脈瘤が認められました。右のほうが軽く、左のほうが重症でした。ですので、左の精索静脈瘤を手術することになりました。
この手術についても3つの方法があります。
①高位結紮
②腹腔鏡手術
③低位結紮術(顕微手術)
私は③の低位結紮術で行いました。保険は効きませんので手術費はかかります(20万程度)。ですが、日帰りで手術が可能です。
高位結紮は入院が必要なのと、他に比べて効果がでないこともあります。お金はかかりますが、低位結紮がリスクも少なく、効果も高いです。
お仕事をされている方が多い男性ですので、手術で拘束される時間も大事な構成要素です。
手術の様子や、その後の療養については次回、お伝えしようと思います。
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