40mm、プラボールとなってから、初級層から中級層にかけては、より柔らかいラバーが好まれるようになりました。非力な子供や女子選手はもちろん、男子選手でも、バックには柔らかめのラバーを貼ることが多いです。表ソフトの選手でも、軟質なスポンジのラバーが多く、硬度の高いラバーは好まれなくなりました。
敬遠されるようになってしまった硬めのラバーや一枚ラバーですが、鍛錬を積むという面では、レベルアップの近道になるかもしれません。
硬度の高いラバーは、スイングの軌道、ミート位置、打球点、スイングの強さや速さに対して非常に正直に反応します。クルマでいうと、タイヤの薄い低扁平タイヤを履くと、ハンドルの動きとクルマの動きがクイックになって、動きが機敏になるのと同じです。ラバーの球持ちが悪いので、ボールに対してドンピシャリで打たないと、ボールは飛ばないし回転はかからないし、まったくスピードも出ません。ここが敬遠される要素です。
しかしながら、一つ技術のレベルをあげたり、いいボールを打てる機会を増やしたいと思った時に、難しいラバーを使って入るようになれば、柔らかい簡単なラバーでも打てるようになります。硬いラバーは基礎根幹がしっかり作れて、カタチがしっかりとできていないと打てません。これが打てるようにフォーム、スイングを変えていくことで、適応できる範囲が広がっていくのです。
私は、調子が悪くなったり、勝てなくなってくると表ソフトを一枚ラバーに変えたり、裏ソフトラバーを硬いものに変えます。大体はラバーの性能に頼ってしまい、自分の元々のカタチが崩れてしまっているのが原因だからです。
初心者がミートのイメージを作るために、薄いラバーや一枚ラバーを使ってラケットで飛ぶイメージを作るのも有効だと思います。
高校生でそこそこ打てるしそこそこ勝てる子のレベルアップのためにも使いますし、レベルが高い子が、シェーク裏裏で打点を下げたり、ラバーの力で打っている子には、試合の1ヶ月前くらいに両面表にして、裏裏がいかに楽に打てるかを体感させることもあります。
現代のラバーは高性能です。20年前と比べると格段に打ちやすくなっていますし、勝手にボールが入るものが多くなっていると思います。楽が故に、フォームが崩れたり、打ち方がわからないままに成長していき壁にぶつかった時に、どうしたらいいかわからなくなり辞めてしまう子も多いと思います。基礎は大切ですし、しっかりとしたミート、ドライブ作りのためにも、敢えて使いにくいものから使わせるということは、コーチは選択肢として持っておく必要があると思います。生涯スポーツである卓球をいかに長く続けられるか、成長し続けられるかは、始めが肝心です。成長が止まった選手に対しては打開策が必要です。使いにくい用具を、少し使えるようになった時、今までの使いやすかった用具は、より性能を引き出せます。硬いラバー、薄いラバーの存在を少し見直してみてはいかがでしょう。
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