タイニーダンサー 対 剛力 徹底比較 その3

卓球

連載中のタイニーダンサー対 剛力の第3弾になります。

個人的なレビューが、ラケット設計者のチャパリータさんの御目通りをいただいたようで、大変ありがたく思います。皆さんの役に立つレビューを続けていきたいと思いますので、今後ともご愛読ください。コメントなども随時お待ちしております。

さて、今回は実際にボールを打ってみた感想になりますが、これをお伝えするには、まずタイニーダンサーと剛力のラケットの素地を理解しなくてはなりません。

2本を並べてみると、視覚的に全く違う部分があります。それがラケットの「色」です。これは塗られてできた色ではありません。木材本来の色で、この2つのラケットは全く別の木材を使っています。

タイニーダンサーは「リンバーウッド」、剛力は「ウォールナット」を使い、均等7枚合板を作っています。芯材から表材まで異なる木材での合板ではなく、すべて同一素材の同一厚での均等合板です。

では、このリンバーウッドとウォールナットは何が違うのでしょうか。

木材を比べる時に使う指標があります。「気乾比重」というものです。これは無垢材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比較した場合の値です。天然の木材はラケットなどに加工する際に必ず「乾燥」させます。木材から完全に水分を飛ばす乾燥を行うこともできますが、大気中の水分を吸い込むため、完全乾燥は意味が有りません。似た言葉に「全乾比重」というものがありますが、木材の強度や重さなどを測る時に使うのが気乾比重です。

この数値が大きければ重く硬い素材で耐久性に優れており、小さくなると軽く柔らかい素材になり断熱性に優れます。

柔らかい打球感の代表、ヒノキの気乾比重は0.41です。

タイニーダンサーに使われるリンバーウッドの気乾比重は0.54、剛力のウォールナットは0.63です。

硬いラケットの代表、ローズウッドは1.04にもなります。

この数値に対して、タイニーダンサーの板厚は5.6mm、剛力は4.9mmです。

数字がたくさん出てきましたが、整理すると

タイニーダンサーは、剛力よりも柔らかくて、軽い素材を使っている。

にもかかわらず総重量はほぼ同じ100g。

板厚の差はあれど、この重さにするには、リンバウットの中でも目の詰まった重めの板を重点的に選んで合板にしている。

グリップ単体の重さは比較できないが、剛力よりもグリップ部分が重くなっている可能性は高い。

という見識になります。実際に振ってみると、重心はヘッド寄りではあるものの、剛力よりはグリップ寄りにあり、グリップ単体の重さはタイニーダンサーが重いと思います。

PF4を現代において使いやすいものに変えた、作馬氏の剛力は、PF4の当たりラケットの打感を再現したラケットと言えます。故に、表面的な打感は硬く、球離れが早いです。

裏ソフトでのフォアスマッシュは硬い打感から弾きやすく、バック面はスポンジありの粒高の方がマイルドに止められる印象です。OXとなると、多少食い込みはするものの、これは比重の重さが影響しているもので、実際のウォールナットに、球持ちの良さを求めるのは材質の特性上、酷なことです。

そのため、板厚を最大まで薄くし、弾みを抑えてブロックをしやすくしてあります。個人的な見解ですが、止めることに関しては良いのですが、いざ粒高で攻撃しに行く時に、ラケットの硬さが邪魔をします。特にOXでの攻撃は、フォアのようにスイングスピードが出て、当たりが強ければ良いのですが、バックハンドでの打ち込みには、球離れが早くて苦労します。極薄や薄のスポンジがあるほうが、ボールを持つ時間が長くなり、打ちやすいラケットです。

対してタイニーダンサーは、ラケット自体に球持ちの良さがあります。これはギターなどの楽器によく使われるリンバーウッドを使用した影響でしょう。しなやかで柔らかさがあり、なおかつ打った時の板の響きがグリップに対して素直に伝わってくるので、打感の操作がしやすいです。

特にOXで打った時の打球感は柔らかく、ラケットがボールを持ってくれるので、OXでも安定して打っていけます。

ブロックに関しては、相手のボールが強く当たっているのか弱いのかがわかりやすく、角度を出して待っていれば簡単に止まりますし、カウンターも可能です。この安定感は剛力にはないもので、タイニーダンサーの素材と板厚が成し得る、黄金比率とも言えるでしょう。

攻撃用ラケットとしても違和感はなく、私はフォア表ソフトで攻撃しますが、表の中では硬めのラクザPOの1.8mm、フォア表ソフトとしては薄めのスポンジ選択でも、しっかり飛んでいきます。逆に厚すぎるスポンジだと、打感をラケットを通じて感じるのが薄くなり、良い感触にならないかもしれません。

それほどまでに、タイニーダンサーの適度な柔らかさとしなやかさは、今までに体感したことのないものになっています。

そして打った時の音がいい。音のいいラケットに悪品はありません。特に硬く薄いラバーを使い続けてきた私は、ラケットの音に敏感です。ポン、ポコン、カンという類の音のラケットは、一枚ラバーとの相性が悪いことが多いです。その点タイニーダンサーは、「パシッ」とラバーが受けたボールの力を、しっかりラケットが受け止めて響かせてるなという、気持ちいい音がします。

両者を比較すると、厚めのスポンジでフォア強打かつ、粒高がスポンジありの場合や、バックはブロックとプッシュが中心の場合は「剛力」

薄めのスポンジや粘着ラバーなどの硬めのスポンジでフォア強打かつ、粒高がOX、打てる粒を使ってバックも少し攻撃的に行くという場合は「タイニーダンサー」が合うような気がします。

剛力は裏裏で勝てない女子選手が、粒高を使って勝つためにどうすればいいかを考えた末のラケット。女子卓球の、ピッチの早い卓球がメインに考えられてあり、製作者の意図は女子選手にあります。

対してタイニーダンサーは、男子粒高選手であるチャパリータさんが、男子目線で作ったラケット。ですので剛力とは、ちょっと考え方が違うのだなぁと感じました。私自身はタイニーダンサー、気に入りました。

商品カテゴリーは剛力とタイニーダンサーが被るものの、主たるターゲットはニッチな市場の中でも違うのかなと、両者を所有し使ってみて感じました。

今後もタイニーダンサーを使って気づいた点などを、レビューしていきたいと思います。製作されたチャパリータさんの思いなども、機会がいただければ個人的にインタビューしてみたいです。

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