ワールドラバーマーケットのLINEチャットの中で、剛力とタイニーダンサーの違いをより細かく教えてほしいというご質問を頂いたので、できる限り答えた行きたいと思います。長くなりますし、何回かに分けての投稿となるかもしれませんので、ご了承ください。
今までの比較記事を総ざらい
ここまではみなさん読んでいただけましたでしょうか。
改めて剛力とタイニーダンサーが似たラケットだとは考えられません。
ブレードサイズは同程度の大きさですが、合板構成が変わります。剛力はウォルナット7枚合板、板厚は非常に薄いです。タイニーダンサーはリンバ材で、剛力よりは少し厚みのあるあるラケットです。
ウォルナットは今や異質用ラケットの定番になり硬い表面としなりが抜群の素材。原型となったPF4とは異なる材質です。ウォルナットという素材で重さを出しています。
タイニーダンサーは、オーソドックスなリンバ材を使っています。板厚も剛力と比べると少し厚め、しなりは少なめです。
材質と厚さもありますが、タイニーダンサーのしなりが少ないのは、ブレード下部のエラの部分のおかげです。
しなりは変化を生み出すが、コントロールと飛びの制御が難しい
しなりの大きいラケットは相手のボールの威力を抑え、ブロック質を高めます。しかしこれは回転と球の勢いをコントロールする人が使えばこその力です。つまり変化幅が大きくできる人には、剛力のしなりの大きさは、粒や変化表などの変化量を高めることができますが、それは高いレベルで、ブロック、プッシュなどが行える前提。しなりすぎるラケットは意図せず回転量が多くなり、ボールを安定させて打つことが難しくなります。
剛力に比べて使いやすいのは、リンバ材均等7枚合板で、比較的厚みのあるタイニーダンサーです。変化の度合いは剛力には劣るものの、ボールに安定感が生まれます。
適度に抑えられたしなりは、ボールを掴みすぎず、早く手放すわけでもなくて、ちょうどいい。前陣でバック粒を使う選手には、しなりから生まれる弾みの大きさは剛力よりも少なく、操作は素直です。
しなるラケットはいいラケットという認識がされますが、必ずしも「しなり」がいい結果をもたらすわけではありません。
大きな個体差を感じる剛力と、さすがハンドメイドのタイニーダンサー
これまで、剛力は3本、タイニーダンサーは2本、打つことができています。天然の木材を使用している兼ね合いから、ラケットの個体差は必ず生じるものですが、より個体差が大きいのは剛力です。
大手メーカーの受注生産とはいえ量産ラケットな訳ですから仕方ありませんが、初期型の剛力はひどいものでした。発売当初に購入したものと、そこから1年経って購入したもの、さらに半年経過したものと刻々と変化し続けるラケット。
打感はもちろんグリップサイズやブレードサイズなども細かく変わっていってます。初期ロットと現在のものでは、同一条件で打球した時の、初期ロットの方が一枚ラバーで感じる打球のロスが大きい、つまり、しなりが大きい状態です。現在のロットの方がしなりが少なく、全体にラケット重心が手前側に来ています。品名や型番を変えないでマイナーチェンジするのは、ユーザーからすると困ります。
また、どの剛力を打っていてもラケットの裏表が感じられます。均等7枚合板ですから裏も表もないはずなのですが、「剛力」の書いてある側に裏ソフト、逆に粒高や表を貼った方が打球感が良く、表面に異質を貼ると、異質面の飛びがチグハグになります。基本はフォア裏、バック異質なのでいいですが、私のようなフォア表バック裏や、フォアに一枚ラバーを貼る場合などは、ラケットをひっくり返して貼り付けて使った方が格段にいいボールがいきます。この辺りの差も、剛力には要改善してほしいポイントです。
OSPの製造するタイニーダンサーは、生産本数の少なさもありますが、本当に個体差がないですし、裏表もない、どの面に何を貼っても、ラケットそのままの弾みを均等に感じられます。この辺りはハンドメイドラケットの良さでしょう。重量や厚さ大きさに至るまで、細かなこだわりがあって作ったラケットであるからこそ、細かな数値は気にしたいところ。それを最小限の誤差で生産してくれるのはOSPのなせる技です。
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