12/4 ブランド移行の情報が出てきました。価格やラインナップなどを追記しています。
ヤマト卓球
この社名を聞いて、「あー、TSPのことね」となるのは30代以上の卓球プレーヤーだと思います。
2017年9月にヤマト卓球は株式会社VICTASへ社名を変更しました。それから3年、株式会社VICTASはVICTASブランドとTSPブランドを別々に存続させ、現在に至るわけです。
2020年10月、株式会社VICTASは、TSPブランドの廃止を決定しました。廃止は2021年春となり、これ以降はTSPのブランド名は無くなり、VICTASブランドに一本化されます。TSPブランドユーザーは、自分の使っているラバーやラケットがどうなるのか、今後はどういった展開をされていくのか不安になっているものと思います。今回は、TSPブランド廃止の流れを、これまで入っている情報を勘案しながら解説していきます。
TSP製品は、いつ生産が終わるのか
裏ソフトラバーの「ヴェンタス」、表ソフト「スペクトル」、ラケットでは「スワット」など、TSPの中でも人気の高い製品は多くあり、ユーザーも一定数存在し続けています。愛用のラバーやラケットが廃盤となるのは、プレーヤーにとって死活問題となりますし、どのタイミングで乗り換えが必要なのかを知っておく必要がありますね。
2020年10月28日現在の情報では、TSPブランド自体は、来春の統合予定ですが、TSP製品は、さらに早く生産が終わってしまいます。そのリミットは
2020年10月末日
これ以降、TSP製品の生産は行われません。販売自体は在庫限りとなるので、廃盤製品を使っている方はもちろん、VICTASブランドでの継続販売となる商品も、生産開始の予定は明記されていないので、少なくとも来春までの使用ラバーなどはストックしておく必要があるかもしれません。
VICTASブランドでの継続販売が決まっている商品も、ラバーのモールドデザインや、ラケットのグリップデザインなど、VICTASブランドでの継続販売を行うにあたり変更される箇所があり、11月初めから、すぐに移行販売とはならない可能性が高いからです。
一時的な在庫切れに陥りやすいのが移行期間です。特に消耗品であり、交換サイクルの短いラバーについては、あらかじめのストックをお勧めします。
何が残り、何がなくなるのか VICTASからの公式発表は
TSP製品のVICTASブランド移行に伴い、廃盤になる商品と、名称を変更して継続的に取り扱われる商品の一覧が発表されました。
TSP製品(ラバー・ラケット)生産完了とVICTAS製品への移行のお知らせ
上記リンクで、各製品の今後の動きが確認できます。
ラバー(裏ソフト)
スーパーヴェンタス → VENTUS Extra
ヴェンタススピード → VENTUS Stiff
ヴェンタススピン → VENTUS Limber
ヴェンタスベーシック → VENTUS Regular
上記4種以外は、生産終了の予定
ラバー(表ソフト)
スペクトル → SPECTOL S1
スーパースピンピップス → SPINPIPS D1
スーパースピンピップスチョップスポンジ2 → SPINPIPS D3
カールP2ソフト → CURL P2V
上記4種以外は、生産終了の予定
ラバー(粒高)
カールP1R → CURL P1V
カールP3 → CURL P3V
カールP3αR → CURL P3αV
カールP4 → CURL P4V
カールPH → CURL P5V
※OX、ソフト共に設定あり
上記5種以外は生産終了の予定
スペクトルにスピンピップス、本当にこのラインナップなのか?
ラケット、ラバーともにTSP製品が継続販売される数は、あまりにも少ないように感じました。学生時代からのスペクトルユーザーでもある筆者、オリジナルスペクトルが残ってくれることには一安心しましたが、レッドやブルーが消えるということに驚きも隠せません。
スペクトルと同様に、表ソフトの定番と言えるのがスピンピップス、この表ソフト2枚は、TSPを優良な表ソフト製造メーカーとして認識させ、TSPを代表するラバーだと思います。
無印のスペクトル、スペクトルスピード(以前に廃盤)、スペクトル21スポンジ(生産中止)、スペクトルレッド(生産中止)、スペクトルブルー(生産中止)の5種類のラインナップがあったスペクトル、これらが1枚だけになるのは、いささか乱暴な気もします。特にプラスチックボールになり開発されたスペクトルレッド、スペクトルブルーは一定の人気があった商品です。
各メーカーは、新しいラバーを作る際に、ITTF(国際卓球連盟)へラバーリストというものを出します。このラバーリストは、ITTFに認証され、公式に使用を認められたラバーが掲載されるリストです。今回、TSPをVICTASへ吸収させる際に、ラバー名称の変更があるため、VICTASはITTFへ申請を行い、そのリストが出ています。
その中にはもちろん、今回継続販売が決まった無印のスペクトル(SPECTOL S1)が入っています。
さらに、SPECTOL S2、SPECTOL S3という表記もあるのです。
統合が発表され、生産完了品のリストが出てくるまで、このSPECTOL S2とS3はスペクトルレッドとブルーに充てられるものだと、筆者は考えていました。しかし、公式な発表はSPECTOL S1のみ
これはスピンピップスでも同様のことが言えます。SPINPIPS D1とD3は今回発表されましたが、D2は空き番のままです。
さらに、TRIPLE Regular、TRIPLE Extra、TRIPLE Double Extraといった、今回触れられなかった裏ソフトラバートリプルシリーズの記載もあるのです。
そして、X’s Regularの記載(エクシズシリーズ)もありました。これらを名前だけが取られないように申請しているだけなのか、しかしながら公認番号もしっかりと取られ、発売する準備が整っているようにも感じます。
もちろんVICTASがこれまで持っているV15、V11、V07、V03の裏ソフトシリーズや、VO101、102、103の表ソフトシリーズとほとんど同じ製品であれば、作る必要はないと思います。しかし、スペクトルレッドやブルー、スピンピップスレッドやブルーが、VOシリーズで代用できているかというと、個人的には疑問符しかありません。
縦目の表ソフトVO101,VO103はあきらかにスペクトルよりも、回転のかけやすい、弾むラバーとなっています。ナックルの出方や、直線的な弾道はスペクトルのシートでしか出ません。横目の表ソフトVO102がスピンピップスと同等に回転がかかるかというと、これもスピンピップスの方が回転に対する性能は上のように感じます。
プラスチックボールになり、回転量そしてスピードが落ち、これをラバーで補うというのが今までの考え方でした。セルロイドとどれくらい同じような打感で感覚で打てるのか、という研究が行われ、弾む用具、そしてボールの持ちが長い用具が多く生まれてきたように思います。
しかし、逆にプラボールでもセルロイドでも、スペクトルが好き、スピンピップスが好きだから、そこから離れなかったユーザーも多くいます。その選択肢として、レッド・ブルーの各シリーズが作られ、好評を得ていました。これが、全くVO102やVO103などと同じであれば、そもそも作る必要がなかったわけですし、スペクトルやスピンピップスからの移行者も増えたはずです。
現実にはスペクトルユーザーから見れば、VO101や103は別物のラバーですから、スペクトルでのバリエーションが欲しいというのが、いちユーザー目線での意見です。
まとめ
まずは、来春でのTSPブランドの廃止を円滑に行っていただき、VICTASとして再出発をしてほしいです。そのなかで、ユーザーはラバー切れを起こさぬよう、ストック及び移行の準備を整えておくべきでしょう。
ITTFへ登録されたスペクトルやスピンピップスのS2、S3、D2の正体が何なのか。これが、しっかりと販売されて、スペクトル、スピンピップスユーザーを納得させてくれるのか、今後の動向にも注目していきます。
2020/12/4追記
VICTASより、新製品(TSPからの移行品のブローシャー)が出ています。
https://d2ur1kxe7rl0pg.cloudfront.net/wysiwyg/journal/journal_pdf/victasbrand_20201201.pdf
これによると新製品は2020年12月下旬から順次販売開始されるようです。
ITTF登録ラバー名簿の中で、名称登録だけが行われ、詳細が分からなかったラバーがブローシャーにて発表されています。
TSP730からトリプルシリーズへと受け継がれた、高性能粘着ラバーの新作として
TRIPLE Regular 4,180円
TRIPLE Extra 5,280円
TRIPLE Double Extra 5,720円
現在のVICTASラインナップにはない、強粘着裏ソフトがラインナップされます。
スペクトルには待望の新作が、しかし価格も上がるぞ
こちらも名称登録だけが行われていた、スペクトルS2、S3の詳細が出てきました。
スペクトルS1 4180円(従来のスペクトル無印と同じもの) 現行価格3,850円が330円値上がりします。
スペクトルS2 4,950円 攻撃重視のテンションスポンジ搭載、粒形状の見直しもかかるよう。スペクトル(無印)がベースだが、より攻撃的にラバー性能を高めているようです。スペクトルブルーやスペクトルレッドの補完となりそうですね。
スペクトルS3 4,950円 スペクトル無印をベースにながらも、こちらもテンション配合と粒設計を見直し、変化重視の攻撃できるラバーとして、新開発。アタック8やドナックルのような、変化重視の表ソフトまではいかないものの、以前のスペクトルスピードのように、ブロックすればナックル、でも打ちやすい程度に収まるのか、それともフレンドシップ729-563のような、変化幅の大きい表ソフトになるのか、今後の情報に注目です。こちらは、現行ラインナップでは無かった、完全新作となる模様です。
スピンピップスは中国製ラバーをラインナップ
スピンピップスD1 4,180円 スーパースピンピップスの代替品、現行モデルをそのまま踏襲。価格はスペクトル同様に330円アップ
スピンピップスD2 4950円 完全新作の回転系表ソフト。中国製のテンションスポンジを採用し、製造も中国で行う。銀河の天王星(ブルースポンジ)のような性能か?VO-102との棲み分けもあるため、より回転性能に特化したものとなるのだろうか。
スピンピップスD3 4,180円 スーパースピンピップスチョップスポンジ2の代替品 こちらも価格は330円アップ
その他カールシリーズ、各種ラケットの代替品の価格も発表されています。カールシリーズは恐らくソフト(スポンジあり)の価格が発表されており、OXに関してはまだわかっていません。(発表されたのがOXであれば、値段上がりすぎです!!)P1R~P4までソフトシリーズは3,300円だったのが、新作では220円アップの3,520円となります。カールPHのみ3,850円が3,520円に値下がり?なのかと思います。ブローシャーの中には、ソフトやOXの表記が無いため、この辺りは推測の域を出ません。
ヴェンタスシリーズは、ヴェンタススピード(ヴェンタススティフ)とヴェンタススピン(ヴェンタスリンバー)は値上げ、ヴェンタスベーシック(ヴェンタスレギュラー)とスーパーヴェンタス(ヴェンタスエキストラは値下げとなっています。
TSPからVICTASへの移行ラバーで考えると、ほぼほぼ現行品の方が安いので、ある程度先まで使い続ける予定があるのであれば、現行品の買いだめをお勧めします。ただし、カールPH、スーパーヴェンタスに関しては、特価なら買い、定価ならステイで新パッケージを待ったほうが良いでしょう。
特に価格の上がり幅が大きい表ソフトユーザーは、現在各ショップがTSPブランドの在庫を売るのにセールをやっているので、それに乗っかってTSP製品を買ったほうがいいでしょう。私もスペクトル(無印)買います。
あとは、モールドを変えただけで、粒形状やスポンジが変わっていないことを、現行品ユーザーは願いましょう。今後もTSPからVICTASブランドへの移行について、続報があれば追記します。
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