昨年から登場し、その名前とバリエーションの多さから、多くの衝撃を与えているXIOMのJEKYLL & HYDE(ジキル&ハイド)シリーズ。すでに6種類が発売され、これまでの裏ソフトが抱えていた矛盾点を、見事に融合させたラバーに仕上がっています。
前回はV47.5 今熱いスポンジ硬度帯でガチインプレッション!andro C48 対 XIOM ジキル&ハイドV47.5 【卓球ラバーレビュー】をアンドロのC48と比較しましたが、今回は、XIOM同士の比較。V47.5 とX47.5の両者は何が違うのか、どういう目的で使い分けるのがベストなのかを考えていきます。
ジキル&ハイドV47.5 とX47.5を数値で比較
では先行して発売されたV47.5 のおさらいから行きましょう。
ジキル&ハイドV47.5
厚さ:2.1mm 1.9mm 1.7mm
カラー:レッド・ブラック・マゼンタ
スポンジ硬度:47.5度
メーカー小売り希望価格7,700円(税込)←値上がりしました
続いて、新作として登場したX47.5です。
ジキル&ハイドX47.5
厚さ:2.1mm 1.9mm 1.7mm
カラー:レッド・ブラック
スポンジ硬度:47.5度
メーカー小売り希望価格8,250円(税込)
カラーバリエーションのマゼンタが無いというのと、少し価格が上がっているのがX47.5の特徴ですね。
X47.5を見た目と測定値から検証
それでは、新しく取り上げるジキル&ハイドX47.5を詳しく見ていきましょう。
マーブル模様のパッケージは同コンセプトですが、XシリーズはVシリーズと全く異なるデザインになっています。
トップシートは光沢感があり、粒が少し浮き出ている感じです。中間硬度帯のラバーの中では少し厚めのトップシート。V47.5 よりも硬く・厚く感じます。見分けるポイントは、モールドの左側がVかXかだけですね。
角度を変えてみてみると、ラバー表面に星屑がちりばめられたようなベールがかかっているように見えるシートです。ぶ厚めしっかりのシートの特徴でもあり、簡単に弧線が出るタイプに多い透明感はありませんでした。
スポンジ表面はブラックで気泡はまずまずの多さ。詰まりすぎという感じもなく、ソフト系のスポンジに見えます。
接着剤を塗り込んだあとはこんな感じ。ザラっとしたスポンジ表面はV47.5 と同じ感じです。接着剤の吸い込みはそれほど多くなく、サラサラ系の1度塗りで十分に接着できます。
X47.5のラバー全体重量は64.8g、カット後の重量は44.1gです。V47.5 は全体重量が69g、カット後が49.4gですので、5gほどX47.5の方が軽いことが分かります。
ただし、同じ1.9mmの厚さで比較したときに、ラバートップシートとスポンジを合わせた、全体硬度を比べてみると、X47.5が50.5HCなのに対し、V47.5 は49.0HCとX47.5方が若干硬いことが分かります。
硬いのに軽いという、矛盾がまたジキル&ハイドの中で生まれました。ますます、一般常識では計れないラバーになっているということが分かりますね。
打ってみるとその差は歴然!しっかり引っかかるが飛びは直線という矛盾
V47.5 はミート主体の打ち方がメインで、強く打てば回転が乗ってくれるなという程度の期待でした。実際に、V47.5 の回転性能は他のハイエンドラバーと比べると劣る部分が多く、決して回転量で先手が取れるラバーではありません。それでも、直線弾道の裏ソフトラバーの中では、そこそこ引っかかるなという印象があったラバーです。
X47.5に関しては、性能面で全体的にV47.5 を凌駕します。飛びの直線弾道は変わらずに、プラスアルファで回転量が乗っていく感じ。スマッシュでも上回転がしっかりかかり、スピードドライブ、ループドライブともに、回転量でも勝負できます。
V47.5 と比較して、トップシートのボール持ちが少し良くなった感じです。ぶよぶよで柔らかいわけではなく、硬い中でしっかりとホールドするので、ハードヒットしてもラバーの負けが無くなります。V47.5 では滑っていた早いドライブに対するカウンタードライブが、X47.5だとしっかり引っかかり、低い弾道で相手コートに入っていく感じ。
ただし、弱く当たった時に、棒球になってしまうのは少々難点です。強いインパクトが出せるならX47.5、少し力が弱い選手はV47.5 という使い分けがいいと思います。また、回転に対する敏感度は、X47.5の方が高いので、サーブが切れる反面、レシーブは回転の影響を受けやすくなります。こうした点でも、X47.5の方が少し上のレベルに対応できるラバーということでしょう。
選び方としては、下回転のボールをどうやってドライブしているかがポイント。ラバーの鈍感さを利用して、少ない力で持ち上げたいというならV47.5 、切れた下回転でもスイングの速さで持っていけるという人にはX47.5がベストマッチ。
個人的な感覚としては、TIBHARのMX-Sを上方向に飛びにくくしたのがジキル&ハイドX47.5ではないかなと。それくらいトップシートの強さがあり、回転性能も持ち合わせています。それでもボールが変に手元で持ち上がらず、前に前に飛ぼうとするので、一般的に使いやすいと言われる裏ソフトとは一線を画した存在ですね。
おすすめは、ミート主体で強くインパクト出来る選手のフォア面。バックに使うと、引っ掛かりはあるものの飛球線の低さが怖く、ネットミスが多くなる可能性があります。
47.5度というスポンジ硬度ですが、打球感は50度オーバーのハイスペック裏ソフトです。同種にX50.0というラバーがありますが、こちらはさらに硬く感じることでしょう。
ラバーは軽いがボールは重い、不思議な矛盾を生み出すのが、ジキル&ハイドの特徴。その中でも圧倒的な軽さを武器にして、振り切れるラケットを作りたい中高生やレディース選手に、お勧めしたい1枚です。
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